総務事務の仕事内容を徹底解説｜会社を支える幅広い業務の実態

公開日: 2025年11月25日更新日: 2025年11月30日

著者: MeTimeキャリア編集部

総務事務は会社運営を支えるバックオフィスの中心的存在です。オフィス環境の整備、社内イベント企画、備品管理、労務サポートなど、実に多様な業務を手がけます。営業や企画といった部署が自らの職務に集中できるのは、総務事務がこうした周辺業務をしっかりサポートしているからこそ。この記事では、総務事務の具体的な仕事内容や一般事務との違い、必要なスキルとやりがいについて詳しく解説します。総務事務への転職を考えている方や、業務内容をより深く知りたい方の参考になれば幸いです。

総務事務の基本的な定義

総務事務とは、企業の円滑な運営を支えるための管理・サポート業務全般を指します。具体的には、社内イベントの企画運営、備品や施設の管理、文書整理、来客対応など、会社全体に関わる幅広い業務を担当するもの。営業や製造といった直接利益を生む部門ではありませんが、こうした部門が業務に専念できる環境を整える役割を担っています。総務事務があることで、各部門は本来の業務に集中でき、企業全体の効率化が実現されます。

総務事務は会社全体の運営をサポートする重要な職種であり、営業や技術部門といった直接利益を生む部門が機能するための基盤となっています。

会社における総務事務の位置づけ

総務事務は企業の「縁の下の力持ち」です。全社員が快適に働ける環境を維持しながら、経営層と現場社員の橋渡し役も務めています。会社の方針を実務レベルに落とし込んだり、現場の声を経営層に伝えたりと、両者をつなぐ重要な機能を果たします。来客対応や電話応対で会社の顔となり、企業イメージ形成にも貢献。総務事務の業務が適切に機能してこそ、組織全体の生産性が高まります。

他の事務職との違いをより深く理解したい方は、「【関連記事】：営業事務の仕事内容を徹底解説｜一般事務との違いと必要スキル」も参考になります。

総務事務の主な仕事内容

社内イベント・行事の企画運営
備品・消耗品の管理と発注
施設・設備の管理
労務・福利厚生のサポート
文書管理・社内規程の整備

総務事務の仕事は多岐にわたり、会社全体に関わるサポート業務を担当します。ここでは代表的な5つの業務を紹介します。

社内イベント・行事の企画運営

入社式や社員総会、忘年会、社員旅行などの社内イベントを企画・運営するのは、総務事務の大切な役割です。会場の手配から参加者調整、当日の進行管理まで、一貫して担当します。社員同士のコミュニケーション促進や企業文化の醸成に貢献する業務であり、イベントの規模によっては外部業者との交渉や予算管理も必要になります。社員が楽しめるイベントを実現することで、職場の雰囲気作りに大きな役割を果たせるのです。また、イベント開催を通じて社内の一体感を生み出し、従業員満足度の向上にも貢献できます。

イベント企画運営は、総務事務の中でも創造的でやりがいのある業務の一つです。会社によっては、年間を通じて複数のイベントを企画することで、調整力と企画力を大幅にスキルアップさせられます。

備品・消耗品の管理と発注

文房具やコピー用紙、トイレットペーパーなどの日用品から、パソコンや机椅子といったオフィス備品まで、社内で使用するあらゆる物品の在庫管理と発注を担当します。各部署からの要望を集約し、適切なタイミングで発注することで業務効率をサポート。コスト削減のため複数業者から見積もりを取り比較検討することもあります。在庫切れを防ぎつつ過剰在庫も避けるバランス感覚が求められる業務です。備品の管理データを常に最新に保つことで、会社全体の経費管理の透明性を確保し、予算管理にも貢献しています。

在庫管理は単なる事務作業ではなく、会社全体のコスト削減に直結する重要な業務です。効率的な購買プロセスの構築により、年間で大きなコスト削減を実現できることもあります。

施設・設備の管理

オフィスビルの管理会社や清掃業者、警備会社との連絡調整を通じて、快適で安全な職場環境を維持します。設備の故障時修理手配、オフィスレイアウト変更への対応、防災設備の点検管理も担当。来客用の会議室予約管理や駐車場の利用調整も重要な業務です。オフィス環境を整えることで、全社員の働きやすさを支えています。また、セキュリティ管理や防災体制の整備を通じて、社員の安全と会社資産の保護も総務事務の重要な責任です。

施設管理は単なる環境整備ではなく、企業リスク管理の重要な部分を占めています。セキュリティ体制の強化や防災対応の整備は、企業が直面する多くのリスクを未然に防ぐために欠かせない業務です。

労務・福利厚生のサポート

人事部門と連携しながら、社会保険手続きのサポート、健康診断の手配、慶弔対応、社員証の発行管理などを行います。福利厚生制度の運用サポートとして社員食堂の管理や福利厚生サービスの案内も担当。従業員の入退社に伴う備品準備や回収、IDカード発行など、社員が安心して働ける環境づくりに直接貢献できます。こうした細やかなサポートを通じて、従業員のモチベーション向上と定着率改善に貢献する重要な業務といえます。

福利厚生制度の運用は、従業員の定着率や満足度に大きな影響を与える業務です。社員にとって分かりやすく利用しやすい制度の仕組みづくりは、総務事務の重要な役割の一つです。

文書管理・社内規程の整備

重要書類の保管管理、契約書のファイリング、文書の廃棄管理など、会社の文書を適切に管理するのが総務事務の役割です。就業規則や社内マニュアルの改訂作業をサポートし、最新の法令に対応した規程を維持。近年は紙文書の電子化やペーパーレス化の推進も重要な業務。適切な文書管理により情報の検索性を高め、業務効率化に貢献します。また、情報セキュリティの観点から、機密文書の管理やアクセス権限の設定も重要な責務となっています。

文書管理は企業のコンプライアンスと情報セキュリティを守る重要な業務です。適切な文書保管と廃棄管理により、企業の法的リスクを回避し、情報漏洩防止に貢献する責任を担っています。

総務事務の1日の業務フロー

午前中の主な業務
午後の主な業務

総務事務の1日は定型業務と突発的な対応が混在しています。実際のスケジュールは会社の規模や業種によって異なりますが、基本的な流れを理解することで、この職種の業務をイメージしやすくなるでしょう。

午前中の主な業務

朝一番はオフィスの開錠や空調調整など、社員が快適に業務を始められる環境整備からスタート。メールをチェックして各部署からの依頼事項を確認し、優先順位をつけて対応します。備品発注、来客の受付対応、電話応対などの定型業務をこなしながら、会議室の予約確認や清掃業者との連絡調整も同時進行。午前は来客が多い傾向なので、受付対応に時間を割くことが多いです。来客の対応一つとっても、企業の第一印象を左右する重要な業務です。

午前中の業務は、総務事務ならではのマルチタスク能力が試される時間帯です。複数の業務を同時進行しながら、各タスクの優先順位を的確に判断する力が求められます。

午後の主な業務

午後は午前に発生した突発業務への対応と、計画的な業務進捗に注力します。社内イベントの準備、備品の検品と配布、文書整理、規程見直しなどを進め、各部署からの相談対応や外部業者との打ち合わせも実施。月末や年度末には経費精算確認や契約更新手続きなど、期限のある業務が増えます。定時前には翌日の準備と引き継ぎ事項をまとめ、オフィス施錠を確認して1日を終えます。このように総務事務の業務は多岐にわたり、瞬間的な対応力と計画性が求められます。

午後の業務では、戦略的な時間配分と優先順位の設定が必須です。限られた時間の中で、複数の案件を効率的に処理するためのタイムマネジメント能力が、総務事務のプロフェッショナルとしての必要不可欠なスキルとなります。

一般事務との違い

業務範囲の違い
求められるスキルの違い

総務事務と一般事務はどちらも事務職ですが、業務範囲と求められるスキルに明確な違いがあります。

業務範囲の違い

一般事務は特定の部署に配属され、その部署内の事務作業に特化します。営業部の一般事務であれば営業資料作成や見積書作成、データ入力など営業部門の業務を担当するのが一般的。これに対し総務事務は会社全体を対象とした業務を扱い、複数部署や外部業者と連携しながら組織横断的なサポートを提供します。つまり一般事務は「部署に属する事務」であり、総務事務は「会社全体をサポートする事務」という根本的な違いがあるのです。こうした特性から、総務事務には会社全体の仕組みや各部署の業務内容を幅広く理解することが求められます。

総務事務と一般事務の仕事内容をさらに詳しく比較したい方は、「【関連記事】：一般事務の仕事内容を徹底解説｜未経験でも分かる業務ガイド」もご覧ください。

求められるスキルの違い

一般事務では正確性とスピードが重視され、特定業務の専門知識が必要です。一方、総務事務ではそれに加えて、多様な業務へ柔軟に対応できる適応力、社内外の関係者と円滑にコミュニケーションする調整力、複数業務を同時進行で管理するマルチタスク能力が欠かせません。また、突発的なトラブルが発生しても冷静に対処する問題解決力も必須。つまり、総務事務は単なる事務処理能力だけではなく、人間関係構築力やコーディネート能力が極めて重要なのです。より幅広いスキルセットが必要な職種といえます。

総務事務に必要な具体的なスキルについてさらに知りたい方は、「【関連記事】：事務職に必要なスキル｜PC操作から対人スキルまで完全ガイド」をご参照ください。

総務事務に必要なスキルと適性

必須のスキル
向いている人の特徴

総務事務での活躍には、特定のスキルと適性が求められます。自分に合った職種かを判断するためにも、どんな能力が必要か把握しておくことが大切です。

必須のスキル

基本的なパソコンスキル(Word、Excel、PowerPoint)は必須で、特にExcelでの表計算やデータ管理を頻繁に使用します。来客対応や電話応対で日常的に必要なビジネスマナーと丁寧な言葉遣いも欠かせません。複数業務を同時進行し、優先順位を判断するマルチタスク能力も重要です。社内外の多様な関係者と円滑に連携するコミュニケーション能力と調整力が、特に総務事務では必要とされるスキルといえます。さらに、小さなミスも許されない場面が多いため、細部への注意力と正確性も求められる重要な能力です。

パソコンスキルの中でも、特にExcelと文書作成は総務事務で日々活用される重要なツールです。これらのスキルを継続的に磨くことで、業務効率が大幅に向上し、キャリアの評価も高まります。

向いている人の特徴

細かい作業を正確にこなせる几帳面な人が総務事務に向いています。予期せぬトラブルや急な依頼にも柔軟に対応できる臨機応変さも大切です。誰かを支えることにやりがいを感じる「縁の下の力持ち」タイプなら、充実感を得られるでしょう。会社全体の業務に興味を持ち、さまざまな部署の人と関わることを楽しめる人にも適しており、人の役に立つことに喜びを感じる人材が成功しやすい傾向にあります。

自分が総務事務に向いているかを確認したい方は、「【関連記事】：事務職の適性診断｜向いている人のセルフチェックリスト」のセルフチェックリストをご活用ください。

総務事務のやりがいとキャリア

総務事務で得られるやりがい
キャリアアップの可能性

総務事務は会社を支える重要な仕事です。この職種ならではのやりがいと、キャリアアップの可能性を紹介します。

総務事務で得られるやりがい

最大のやりがいは、会社全体を支えているという実感を得られることです。社内イベントが成功したときや社員から感謝の言葉をもらったときには、大きな達成感を感じられます。多様な業務を通じて会社の仕組みを深く理解でき、幅広い知識とスキルが身につくのも魅力。さまざまな部署の人と関わる機会が多いため、社内の人脈を広げられることも強みです。日々の業務改善によって会社の効率が上がったと実感できる瞬間が、総務事務ならではのやりがいといえます。

会社全体に貢献する実感こそが、総務事務の最大のやりがいです。自分の業務改善が全社員の働きやすさに直結する体験は、他の職種では味わい難い充実感をもたらします。

キャリアアップの可能性

総務事務での経験はさまざまなキャリアパスにつながります。総務部門内でのマネージャーや部長への昇進、人事や経理、法務などの隣接部門へのキャリアチェンジも可能。会社全体の業務を理解している強みを活かし、経営企画や管理部門のマネジメント職に進む人もいます。総務で培った調整力やマルチタスク能力は、どの業界・職種でも評価される汎用性の高いスキル。継続的にスキルアップすることで、キャリアの選択肢は確実に広がります。

総務事務でのキャリアアップについてさらに詳しく知りたい方は、「【関連記事】：事務職でキャリアアップ｜昇進・年収アップの実践ガイド」をご参照ください。

まとめ: 総務事務は会社の縁の下の力持ち

総務事務の仕事内容は、社内イベント企画、備品管理、施設管理、労務サポート、文書管理など多岐にわたります。一般事務と比べて業務範囲が広く、会社全体に関わる調整業務が多いのが特徴です。必要なスキルはパソコンスキル、ビジネスマナー、マルチタスク能力、コミュニケーション能力など幅広いもの。細かい作業を正確にこなせる几帳面さと、突発的な対応にも柔軟に対応できる臨機応変さがあれば、この職種で成功しやすいでしょう。会社全体を支えているという実感や、多様な業務を通じた成長がやりがいとなり、総務事務での経験は将来のキャリアの幅を広げます。縁の下の力持ちとして組織全体の生産性向上に貢献できる、やりがいのある職種といえるでしょう。