経理事務の仕事内容を徹底解説｜年収と簿記資格の必要性

公開日: 2025年11月25日更新日: 2025年11月30日

著者: MeTimeキャリア編集部

経理事務は企業のお金の流れを管理し正確な会計処理を行う専門職です。この記事では仕事内容・年収相場・簿記資格の必要性を詳しく解説します。経理事務を目指す方や転職を検討している方のために、キャリアを判断するための総合的な情報を紹介します。

経理事務とは？仕事の全体像を理解しよう

経理事務は企業の経営に欠かせないお金の管理を担う専門職です。売上や経費などの取引を記録し、正確な財務データを作成することで、経営判断の基礎となる情報を提供します。

経理事務の基本的な役割
一般事務との違い

経理事務の基本的な役割

経理事務の基本的な役割は、企業の全ての金銭取引を記録し、会計帳簿として整理することです。売上や仕入れなどの収入・支出を伝票に起こし、仕訳帳に記入します。これらのデータをもとに月次・年次の財務諸表を作成し、経営陣に経営状態を報告します。

従業員の経費精算、請求書の発行・管理、取引先への支払処理なども重要な業務です。数字の管理が求められるため、ミスは許されません。企業の財務状況を把握する立場にあるため、組織内でも信頼される重要なポジションといえます。

一般事務との違い

一般事務と経理事務の最大の違いは、専門知識の必要性です。一般事務は書類作成やデータ入力など幅広い業務を担当しますが、経理事務は会計や簿記の知識が不可欠です。複式簿記の原理を理解し、借方・貸方の仕訳ができる能力が求められます。

キャリアパスも異なります。一般事務は総合職へのステップアップが可能ですが、経理事務は専門性を深めることでスペシャリストや管理職を目指します。年収面でも専門性の高さから、経理事務の方が長期的には高い傾向があります。また、経理事務の経験は税理士事務所や会計事務所への転職に活かせるため、キャリアの選択肢が広がります。「【関連記事】：一般事務の仕事内容を徹底解説｜未経験でも分かる業務ガイド」で一般事務の詳細について解説していますので参考にしてください。

経理事務の具体的な仕事内容を詳しく解説

経理事務の仕事は日常業務から月次・年次の決算業務まで多岐にわたります。実務を時間軸ごとに解説することで、経理事務として働くイメージがより具体的になるでしょう。

日常的に行う業務
月次で行う業務
年次で行う業務
企業規模による仕事内容の違い

日常的に行う業務

日常業務は企業の日々の取引を正確に記録することが中心です。入出金、経費精算、請求書の管理など細かい作業の積み重ねが、月次・年次の決算業務の基礎となるため、正確性とスピードの両立が求められます。

伝票処理と帳簿記入

伝票処理は経理事務の最も基本的な業務です。営業や仕入れなど全ての取引を会計伝票に起こし、仕訳帳に記入します。例えば10万円の商品を販売した場合、「売掛金10万円/売上高10万円」という仕訳を作成します。

現在は会計ソフトを使用する企業がほとんどですが、仕訳の基本原理を理解していないと正確な入力ができません。伝票内容を確認し適切な勘定科目を選択、金額を入力する作業を1日に数十件から数百件こなすこともあります。この作業の正確性が後の決算業務の効率を左右します。

経費精算と支払処理

従業員が立て替えた交通費や備品購入費などの経費精算も重要な日常業務です。経費精算書をチェックし、領収書と照合して正確性を確認します。問題がなければ承認して支払処理を行います。

取引先への買掛金の支払いや、光熱費・通信費などの固定費の振込手続きも担当します。支払期日を管理し遅延が発生しないよう計画的に処理することが求められます。金額のミスが許されないため、ダブルチェック体制を取る企業が多くあります。

請求書の発行と管理

売上に対する請求書の発行と管理も経理事務の担当範囲です。営業部門から提供される売上データをもとに請求書を作成し取引先に送付します。発行後は入金予定日を管理し、期日通りに入金があるか確認します。

入金遅延時は営業担当者に連絡して催促を依頼することもあります。売掛金管理は企業のキャッシュフロー管理に直結するため、迅速な対応が必要です。また請求書の控えは税務調査時に必要な書類のため、適切に保管・管理することが求められます。

月次で行う業務

月次業務は1ヶ月の取引をまとめて財務状況を把握するための作業です。日々の伝票処理が正確に行われていることを前提に、月次決算や給与計算関連の業務を進めます。月次決算の結果は経営会議で報告され、経営判断の重要な材料となります。

月次決算業務

月次決算では1ヶ月間の収益と費用を集計し試算表を作成します。売上高や売上原価、販売費及び一般管理費などを項目ごとに集計し当月の利益を算出します。試算表の借方合計と貸方合計が一致しているか確認し、不一致があれば原因を特定して修正します。

前払費用や未払費用の計上、減価償却費の計算など会計上の調整作業も行います。結果は損益計算書や貸借対照表の形式で経営陣に報告され、予算と実績の比較分析に活用されます。

給与計算のサポート

給与計算は人事部門が主導することが多いですが、経理事務は会計処理の面でサポートします。給与支払額を「給料手当」として計上し、社会保険料や源泉所得税の預り金を適切に処理します。社会保険料の会社負担分や雇用保険料を「法定福利費」として計上する作業も担当します。

給与に関する仕訳は毎月発生し金額も大きいため正確な処理が求められます。給与明細と会計データの整合性を確認し差異があれば原因を調査します。年末には年末調整の計算結果を会計処理に反映させる必要があり、人事部門との密接な連携が重要になります。

年次で行う業務

年次業務は1年間の経営成績を確定させる重要な作業です。年次決算では月次決算よりも詳細な調整や確認作業が必要になり、税理士や公認会計士と連携することも多くなります。この時期は経理部門が最も忙しい繁忙期です。

年次決算業務

年次決算では1年間の全取引を精査し、財務諸表を確定させます。棚卸資産の実地棚卸を行い帳簿残高と実際の在庫を照合します。売掛金や買掛金の残高確認、固定資産の減価償却計算、引当金の計上など様々な決算整理仕訳を行います。

大企業では監査法人による会計監査を受けるため、証憑書類の整理や監査対応も重要です。決算書が確定すると株主総会の資料作成や金融機関への提出資料の準備も行います。年次決算の正確性は企業の信頼性に直結するため細心の注意を払って作業を進めます。

税務関連業務

法人税や消費税などの税務申告書の作成は通常は税理士が行いますが、経理事務はそのための基礎資料を準備します。決算書のデータをもとに、税務申告に必要な別表や付表を作成し税理士に提供します。また税務署への提出期限を管理し遅延がないよう進捗を確認します。

消費税の申告では課税売上と課税仕入れを正確に集計し納付税額を計算します。源泉所得税の納付書作成や固定資産税の納付手続きも経理事務の担当範囲です。税務調査時には過去の帳簿や証憑書類を提示し質問に対応する役割も担います。

企業規模による仕事内容の違い

経理事務の仕事内容は企業規模によって大きく異なります。中小企業では経理担当者が少人数のため、一人で幅広い業務を担当することが多くなります。伝票処理から決算業務、税務申告の補助まで経理業務全般を経験できるのが特徴です。業務の全体像を把握しやすく、早い段階で責任ある仕事を任されることもあります。

一方大企業では分業制が進んでおり、担当する業務範囲が明確に区分されています。売掛金管理専任、買掛金管理専任、決算担当など特定の領域に特化して働くケースが多いです。専門性を深めやすい反面、経理業務全体を理解するには時間がかかることもあります。

中小企業では市販の会計ソフトを使用することが多いですが、大企業では独自開発の基幹システムやERPシステムを使用します。大企業では内部統制やコンプライアンスの要求も厳しく、承認プロセスや証跡管理が厳格に運用されています。

経理事務の年収を徹底分析

経理事務の年収は経験年数、企業規模、地域によって大きく異なります。具体的な年収データをもとに収入実態を解説し、年収アップの方法も紹介します。

経験年数別の平均年収
企業規模別の年収比較
地域別の年収差
年収アップの方法

経験年数別の平均年収

経理事務の年収は経験を積むことで着実に上昇していきます。未経験からスタートした場合でも、段階的に年収を上げることが可能です。

未経験・新卒の年収

未経験または新卒で経理事務に就いた場合、年収は250万円〜320万円程度が相場です。月給は18万円〜22万円程度で、ボーナスを含めた金額となります。最初は伝票入力や経費精算などの基本業務からスタートし、簿記の知識を実務で身につけながら成長していきます。

派遣社員やパートとして働く場合は時給1,200円〜1,500円程度が一般的です。正社員登用制度がある企業であれば、実務経験を積んで正社員になることで年収アップが期待できます。

経験3〜5年の年収

経験が3〜5年になると月次決算や税務申告の補助など、より専門的な業務を任されるようになります。平均年収は320万円〜420万円程度です。簿記2級を取得し実務経験も豊富になることで、転職市場での評価が高まります。

中小企業ではこの経験年数で経理担当のリーダー的な役割を担うこともあります。後輩の指導や業務の効率化提案など、マネジメント的視点も求められるようになり、キャリアの幅が広がる時期です。

経験10年以上・ベテランの年収

経験10年以上になると年収は400万円〜600万円以上に達します。年次決算を単独で完結できる能力や税務知識の深さが評価され、企業によっては経理課長や経理部長などの管理職に昇進することもあります。管理職になれば年収700万円〜800万円も可能です。

この段階では公認会計士や税理士の資格取得を目指す人も多く、さらなるキャリアアップの選択肢が広がります。CFO(最高財務責任者)を目指す道や独立して税理士事務所を開業する道など、多様なキャリアパスが開かれています。

企業規模別の年収比較

経理事務の年収は勤務する企業の規模によっても大きく変わります。大企業と中小企業では基本給だけでなく、ボーナスや福利厚生の充実度にも差があります。

中小企業の年収相場

従業員数が100人以下の中小企業では平均年収は280万円〜400万円程度です。大企業に比べると低めですが、少人数で幅広い業務を担当するため短期間で経理のスキルを総合的に身につけられるメリットがあります。

経営者との距離が近く経営判断に関わる機会も多いため、やりがいを感じやすい環境です。能力次第で早期に昇進や昇給のチャンスがあり、20代後半で経理責任者になるケースも珍しくありません。

大企業の年収相場

従業員数が1,000人以上の大企業では平均年収は350万円〜550万円程度で、中小企業よりも高水準です。福利厚生が充実しており、住宅手当や家族手当、退職金制度なども整っています。ボーナスは年間で基本給の4〜6ヶ月分が支給されることが多く、安定した収入が期待できます。

明確な昇給制度があり勤続年数や評価に応じて段階的に年収が上がっていきます。上場企業であれば監査法人との連携や株主総会対応など高度な実務経験を積むことができ、キャリアの価値が高まります。

地域別の年収差

東京都内の平均年収は350万円〜450万円程度で全国平均よりも高い傾向があります。企業の本社が集中しており大企業の求人が多いためです。

大阪や名古屋などの地方都市では平均年収は320万円〜400万円程度です。東京に比べるとやや低めですが生活費も抑えられるため実質的な生活水準はそれほど変わりません。

地方の中小都市では平均年収は280万円〜350万円程度です。求人数は都市部に比べて少なめですが、リモートワークを導入している企業も増えており選択肢が広がっています。

年収アップの方法

経理事務で年収を上げるには簿記2級や1級などの資格取得が最も確実です。簿記2級を持っていると求人の応募条件を満たしやすくなり、初任給も高く設定される傾向があります。給与計算検定や税理士科目合格なども評価されます。

次に重要なのは実務経験の幅を広げることです。単純な伝票入力だけでなく、月次決算や年次決算、税務申告の補助など、より専門的な業務に携わることで市場価値が高まります。

転職も年収アップの有効な手段です。経理事務は転職市場で需要が高く、経験とスキルがあれば年収アップを実現しやすい職種です。中小企業から大企業へ、または経理業務が高度な業界へ転職することで大幅な年収増加が期待できます。「【関連記事】：事務職でキャリアアップ｜昇進・年収アップの実践ガイド」ではキャリアアップ戦略を詳しく解説しています。

簿記資格は本当に必要？取得するメリットを解説

経理事務を目指す際、「簿記資格は本当に必要か」という疑問は重要です。資格なしで働けるのか、各級の取得メリット、実務への活かし方を解説します。

簿記資格なしでも経理事務はできる？
簿記3級の価値と取得メリット
簿記2級があると有利な理由
簿記1級や税理士資格は必要？
簿記以外に役立つ資格

簿記資格なしでも経理事務はできる？

結論から言えば、簿記資格がなくても経理事務として働くことは可能です。未経験者を採用し入社後に実務を通じて簿記の知識を教える企業も存在します。特に中小企業では人柄や意欲を重視して資格なしでも採用するケースがあります。

ただし資格なしで応募できる求人は限られており採用のハードルは高くなります。多くの企業が「簿記3級以上」を応募条件としているため、資格がないと選択肢が大幅に狭まるのが現実です。また入社後も簿記の基礎知識がないと仕訳や決算の理解に時間がかかり業務習得が遅れる可能性があります。

経理事務として長く働きたいなら最低でも簿記3級は取得しておくことをお勧めします。会計の基本原理を理解することで実務での吸収速度が格段に上がり、早期にキャリアアップできる可能性が高まります。

簿記3級の価値と取得メリット

簿記3級は経理事務の入門資格として非常に価値が高い資格です。経理事務を目指すなら最優先で取得すべき資格といえます。

簿記3級で身につく知識

簿記3級では複式簿記の基本原理、仕訳の方法、試算表の作成、決算手続きなど経理業務の基礎を体系的に学びます。借方・貸方の概念、資産・負債・純資産・収益・費用の5つの要素、勘定科目の種類と使い方を理解できるようになります。

これらの知識は経理事務の実務で毎日使うものです。売上が発生したときに「売掛金/売上」という仕訳を切る理由、経費を支払ったときに「消耗品費/現金」と処理する根拠が理解できるようになります。実務では会計ソフトを使いますが簿記の原理を知らないと正確な入力ができません。

就職・転職での評価

簿記3級は経理事務の求人において最も一般的な応募条件です。「簿記3級以上」と記載されている求人が非常に多く、この資格を持つだけで応募できる求人数が大幅に増えます。未経験者の場合、簿記3級があるかどうかが採用の分かれ目になることも少なくありません。

面接では「簿記3級を取得した」という事実が経理への本気度や学習意欲の証明になります。合格率は約40〜50%で、しっかり勉強すれば取得できる難易度ですが合格した実績は就職活動で強いアピールポイントになります。

簿記2級があると有利な理由

簿記2級は経理事務としてのキャリアを本格的に築きたい方には重要な資格です。簿記3級が「基礎」なら簿記2級は「実務レベル」の知識を証明します。

簿記2級で広がる業務範囲

簿記2級では工業簿記(原価計算)や連結会計など、より高度な会計知識を学びます。製造業の原価管理や親会社・子会社間の連結決算など複雑な会計処理に対応できるようになります。実務では月次決算や年次決算の中心メンバーとして活躍できるレベルです。

簿記2級があると経理のリーダーや主任候補として採用されることも多くなります。決算業務を任せられる人材として重宝され責任ある仕事を担当する機会が増えます。大企業の経理部門では簿記2級を昇進の条件としている場合もあり、キャリアアップには欠かせない資格といえます。

年収への影響

簿記2級を取得することで年収は平均で20万円〜50万円程度アップする傾向があります。初任給を見ても簿記3級と簿記2級で明確に差があり、2級保持者の方が月給で2万円〜3万円高く設定されていることが多いです。年間にすると24万円〜36万円の差が生まれます。

簿記2級があることで大企業や上場企業の経理職求人に応募できるようになります。これらの求人は年収400万円〜500万円以上のものが中心です。取得には数ヶ月の学習が必要ですが投資効果は十分にあります。

簿記1級や税理士資格は必要？

簿記1級は簿記資格の最高峰で合格率は約10%前後の難関資格です。一般的な経理事務の仕事では必須ではありません。簿記2級で十分に実務がこなせるため費用対効果を考えると簿記2級までで十分です。

ただし経理部長やCFOを目指す、会計事務所や税理士事務所に転職したい、公認会計士や税理士を目指すといった明確なキャリアプランがある場合は有効です。これらの資格があれば年収600万円〜1,000万円以上も実現可能でキャリアの選択肢が飛躍的に広がります。

自分のキャリアプランに応じて、どこまでの資格を目指すかを戦略的に考えることが重要です。まずは簿記2級を取得し実務経験を積みながら判断するのが賢明なアプローチです。

簿記以外に役立つ資格

経理事務として働く上で簿記以外にも役立つ資格があります。MOS(Microsoft Office Specialist)のExcel資格は実務で頻繁にExcelを使うため実用的です。関数やピボットテーブルを使いこなせると業務効率が格段に上がります。

給与計算検定も有用です。給与計算は経理事務の重要な業務の一つで、この資格があると給与計算業務を任されやすくなります。ファイナンシャルプランナー(FP)の資格は税金や社会保険の知識を深めるのに役立ちます。これらの資格は簿記のように必須ではありませんが持っていると業務の幅が広がり市場価値が高まります。「【関連記事】：事務職に役立つ資格｜おすすめ7選とMOS・簿記・ITパスポート比較」で事務職に関連する資格について詳しく解説していますので参考にしてください。

経理事務に向いている人・必要なスキル

経理事務は向き不向きがはっきり分かれる職種です。求められるスキルと向いている人の特徴を理解することで、適性を見極められます。

経理事務に求められる基本スキル
経理事務に向いている人の特徴
未経験から始めるために準備すべきこと

経理事務に求められる基本スキル

経理事務として働くためにはいくつかの基本スキルが不可欠です。これらを身につけることで実務をスムーズにこなせるようになり、キャリアアップの土台が築けます。「【関連記事】：事務職に必要なスキル｜PC操作から対人スキルまで完全ガイド」では事務職全般に求められるスキルについて解説していますので、経理事務以外のスキル要件も参考になります。

数字への正確性と注意力

経理事務で最も重要なスキルは数字を正確に扱う能力です。1円でも合わないと試算表が一致せず原因究明に多大な時間を費やすことになります。伝票入力や帳簿記入では金額の桁を間違えたり、カンマの位置を誤ったりしないよう細心の注意を払う必要があります。

請求書の日付、取引先名、品目、数量など全ての情報を正確に確認し記録する習慣が必要です。ミスを防ぐためのダブルチェック体制を構築し確認作業を怠らない姿勢が重要です。集中力と地道な確認作業を苦にしない忍耐力が経理事務の基礎となります。

PCスキル・Excelスキル

現代の経理事務ではPCスキルが必須です。特にExcelは日常的に使用するため基本操作はもちろん関数(SUM、VLOOKUP、IF)やピボットテーブルを使いこなせることが求められます。会計ソフトへのデータ入力や財務データの集計・分析にExcelを多用します。

会計ソフトの操作スキルも重要です。多くの企業が「弥生会計」「freee」「マネーフォワード」などのクラウド会計ソフトを使用しており、これらのシステムに素早く慣れる適応力が必要です。Word、PowerPointなどの基本的なOfficeソフトも報告書作成で使用します。

経理事務に向いている人の特徴

経理事務に向いているのは几帳面で細かい作業が苦にならない人です。毎日同じような伝票処理を繰り返すことに達成感を感じられ、ルーティンワークを正確にこなすことに喜びを見出せる性格の方が適しています。ルールや規則を守ることを重視する真面目な人も経理事務に向いています。

責任感が強い人も適しています。企業の重要な財務データを扱う立場にあるため、情報の機密性を理解し慎重に行動できる人が求められます。締め切りを守る意識が高く繁忙期でも計画的に業務を進められる人は高く評価されます。

論理的思考ができる人も経理事務に向いています。仕訳の原理を理解し取引を複式簿記の形式で正確に処理するには論理的に物事を考える能力が必要です。因果関係を理解し体系的に整理する力がある人は経理業務をスムーズに習得できます。「【関連記事】：事務職の適性診断｜向いている人のセルフチェックリスト」では事務職全般の適性について詳しく診断していますので参考にしてください。

未経験から始めるために準備すべきこと

未経験から経理事務を目指す場合まず簿記3級の取得を最優先に考えましょう。独学でも2〜3ヶ月の学習で合格可能です。書籍やオンライン講座を活用し試験合格を目指してください。簿記3級を持っていれば未経験でも応募できる求人が格段に増えます。

次にExcelスキルを磨くことも重要です。無料のオンライン教材やYouTube動画を活用して基本的な関数やピボットテーブルの使い方を習得しておきましょう。家計簿をExcelで作成してみるなど実践的な練習をすると効果的です。「【関連記事】：事務職に必要なExcelスキル｜必要なレベルと学習方法」では経理事務に欠かせないExcelスキルの習得方法を詳しく解説しています。

経理業務の全体像を理解するために経理関連の書籍を読むこともおすすめです。入門書を読むことで実務のイメージが具体的になり面接でも自信を持って話せるようになります。準備を整えた上で未経験歓迎の求人に積極的に応募し実務経験を積むことが第一歩です。

経理事務のキャリアパスと将来性

経理事務は専門性が高く長期的なキャリアを築きやすい職種です。キャリアアップの道、AI時代の将来性、ワークライフバランスについて解説します。

経理事務からのキャリアアップ
経理事務の将来性とAI時代の展望
ワークライフバランスと働き方

経理事務からのキャリアアップ

経理事務のキャリアパスは多様です。社内でのキャリアアップとしては経理担当から経理主任、経理課長、経理部長へと昇進していく道があります。大企業ではCFO(最高財務責任者)を目指すことも可能です。管理職になれば年収700万円〜1,000万円以上も実現できます。

転職によるキャリアアップも一般的です。中小企業で幅広い経理経験を積んだ後大企業の経理部門に転職して専門性を深める、あるいは税理士事務所や会計事務所に転職して税務の専門家になる道もあります。経理経験者は転職市場で常に需要があり年齢を問わず転職のチャンスがあります。「【関連記事】：未経験で事務職に転職｜転職成功の完全ガイド」では事務職への転職について詳しく解説しており、経理事務への転職も同様の戦略が活用できます。

資格取得によるキャリアチェンジも可能です。簿記1級や税理士資格を取得し税理士として独立開業する、公認会計士試験に挑戦して監査法人で働くなど高度な専門職への道も開かれています。経理事務の実務経験はこれらの資格取得に大いに役立ちます。

経理事務の将来性とAI時代の展望

AI技術の発展により単純な伝票入力やデータ処理は自動化が進んでいます。OCR技術を使った自動仕訳や銀行口座と連動した自動記帳など、テクノロジーによる効率化は急速に進んでいます。単純作業だけをこなす経理事務の需要は減少する可能性があります。

ただし経理業務の全てがAIに置き換わるわけではありません。複雑な会計処理の判断、税務戦略の立案、監査対応など高度な専門知識と判断力が必要な業務は人間が担います。AIが単純作業を代行することで経理担当者はより付加価値の高い業務に集中できるようになります。

将来性を確保するには会計の専門家としてのスキルを磨くことが重要です。簿記2級以上の資格取得、税務や財務分析の知識習得、経営視点での会計データ活用など、AI時代でも必要とされる人材を目指してキャリアを構築しましょう。「【関連記事】：AI時代の事務職｜将来性と生き残るキャリア戦略」では事務職全般のAI時代への対応について詳しく解説していますので参考にしてください。

ワークライフバランスと働き方

経理事務は一般的にワークライフバランスが取りやすい職種です。定時で帰宅できる企業が多く、残業は月末や年度末などの繁忙期に集中する傾向があります。閑散期は定時退社が可能でプライベートの時間を確保しやすい環境です。

経理事務はリモートワークとの相性も良い職種です。クラウド会計ソフトの普及により自宅からでも会計処理や決算業務ができる環境が整っています。週2〜3日のリモートワークを認める企業が増えており柔軟な働き方が可能になっています。

パートタイムや時短勤務の求人も多く育児や介護と両立しながら働きやすい職種です。経理スキルは一度身につければブランクがあっても復帰しやすく、ライフステージの変化に対応しながら長く働き続けられます。

まとめ:経理事務の仕事は資格とスキル次第で安定したキャリアが築ける

経理事務は企業のお金の流れを管理する専門職として、やりがいと安定性を兼ね備えた仕事です。日常の伝票処理から月次・年次決算まで幅広い業務があり経験を積むことで着実にスキルアップできます。未経験者でも簿記3級から始めて段階的にキャリアを築くことが可能です。

年収は経験とスキルに応じて上昇し簿記2級以上を取得することで年収400万円以上も十分に実現できます。大企業への転職や管理職への昇進により年収600万円〜800万円以上も目指せます。簿記資格は必須ではありませんが取得することで就職・転職の選択肢が大幅に広がり年収アップにも直結します。

経理事務に向いているのは数字を正確に扱える几帳面な人、責任感が強く締め切りを守れる人、論理的思考ができる人です。未経験から始めるなら簿記3級とExcelスキルを身につけることが第一歩です。AI時代でも高度な会計知識と判断力を持つ専門家の需要は続きます。資格とスキルを磨き付加価値の高い経理担当者を目指しましょう。

経理事務はワークライフバランスも取りやすく長期的に安定したキャリアを築ける職種です。これから経理事務を目指す方は簿記資格の取得から始め実務経験を積みながら自分に合ったキャリアパスを見つけてください。計画的にスキルを磨くことで充実した経理キャリアが実現できます。