警備員の勤務形態を解説|24時間交代制・夜勤の実態

警備員の仕事に興味があるけれど、「24時間交代制とはどんなシステム?」「夜勤は本当にきつい?」「休憩は取れるのか?」と疑問を持つ方は多いのではないでしょうか。警備員の勤務形態は一般的な会社員とは異なり、24時間体制の交代制が中心です。この記事では、2交代制・3交代制の違い、夜勤の実態、仮眠時間の確保、変形労働時間制、休憩・休日の取り方まで、転職前に知っておきたい勤務形態の全体像を解説します。
警備員の主な勤務形態
警備員の勤務形態は、担当する現場や業務内容によって大きく異なります。施設警備では24時間体制が基本となり、交代制やシフト制で勤務するのが一般的です。一方、交通誘導は日中の勤務が多く、夜勤は比較的少ない傾向にあります。「【関連記事】:警備員の仕事内容完全ガイド」では、各業務区分の具体的な仕事内容について詳しく解説しています。ここでは、警備員の代表的な勤務形態である24時間体制と交代制、日勤と夜勤の区分について詳しく見ていきましょう。
24時間体制と交代制
オフィスビルや商業施設、工場などを24時間守るため、警備員は交代制で勤務します。主な交代制は「2交代制」と「3交代制」の2つで、2交代制は12時間ずつ、3交代制は8時間ずつのローテーションです。24時間体制を維持することで、施設のセキュリティを確保し、突発的なトラブルにも対応できる体制が整えられています。交代時には前の担当者から引き継ぎを受け、現場の状況や注意事項を共有することが重要です。
日勤と夜勤の区分
日勤は午前8時から午後5時、または午前9時から午後6時までの勤務が一般的で、施設の出入り管理、巡回、来訪者対応などが主な業務です。夜勤は午後5時から翌朝8時までの勤務となり、夜間の巡回、モニター監視、施設の施錠・開錠が中心となります。夜勤では仮眠時間が設けられることが多く、22時から5時までの深夜時間帯には25%の深夜割増が適用されるため、給与面でのメリットがあります。
2交代制の勤務形態
2交代制は施設警備で最も一般的な勤務形態の一つです。1日を2つの時間帯に分け、12時間ずつの長時間勤務となりますが、その分休日が多く取れるのが特徴です。ここでは、2交代制の基本パターン、メリット・デメリット、実際のシフト例を具体的に解説します。
2交代制の基本パターン
2交代制の一般的なパターンは、日勤が午前8時から午後8時、夜勤が午後8時から翌朝8時までの12時間勤務です。基本的な勤務サイクルは「2日働いて2日休む」が多く、月の勤務日数は15〜16日程度となります。12時間勤務の中には仮眠時間や休憩時間が含まれており、実労働時間は8時間程度です。このサイクルにより、連続した勤務日数を最小限に抑えながら、十分な休日を確保できるのが特徴です。
2交代制のメリット・デメリット
最大のメリットは休日が多いことです。月15〜16日の勤務なので、14〜15日は休日となり、まとまった休みが取りやすいのが魅力。シフトが固定されやすいため、生活リズムも作りやすいです。一方、デメリットとしては12時間という長時間勤務の体力的な負担や、夜勤時の生活リズムの昼夜逆転が挙げられます。
2交代制の実際のシフト例
シフト例として「1-2日:日勤、3-4日:休み、5-6日:夜勤、7-8日:休み」というパターンを繰り返す現場が多いです。月の勤務日数は15〜16日で、休日は14〜15日となります。日勤と夜勤のローテーションは月ごとに変わる場合もあれば、固定シフトの現場もあります。
3交代制の勤務形態
3交代制は1日を3つの時間帯に分け、8時間ずつのローテーション勤務を行う形態です。2交代制と比べて勤務時間が短く、体への負担が少ないのが特徴ですが、生活リズムが乱れやすいという側面もあります。ここでは、3交代制の仕組みとメリット・デメリットを詳しく見ていきましょう。
3交代制の基本パターン
日勤が午前8時から午後4時、準夜勤が午後4時から深夜0時、深夜勤が深夜0時から午前8時までの8時間勤務です。3つのチームがローテーションで勤務し、1週間ごとにシフトが変わるのが一般的です。月の勤務日数は20〜22日程度となり、2交代制より勤務日数が多くなります。この制度により、より多くの警備員を配置でき、24時間体制の安定運用が可能になります。
3交代制のメリット・デメリット
メリットは勤務時間が8時間と短いため、体への負担が少ないことです。2交代制の12時間勤務と比べて疲労が蓄積しにくく、勤務後の時間を有効活用できます。デメリットとしては、勤務日数が月20〜22日と多く、休日が少ないことが挙げられます。さらに、日勤・準夜勤・深夜勤を1週間ごとにローテーションするため、生活リズムが乱れやすく、体調管理が大変になることも課題です。
夜勤の実態と仮眠時間
夜勤は警備員の仕事で特に気になるポイントです。業務内容、仮眠時間、手当など、転職前に知っておきたい実態を詳しく解説します。
夜勤の業務内容
定期的な巡回、モニター監視、施設の施錠・開錠、異常時の対応が主な業務です。1時間に1回または2時間に1回のペースで施設内を巡回し、異常がないかを確認します。防災センターでは複数のモニターで施設全体を監視し、不審者の侵入や設備の異常をチェックします。深夜帯は人の出入りが少ないため比較的静かな時間を過ごせますが、緊急時には迅速な対応が求められます。
仮眠時間と仮眠室
夜勤中に3〜4時間の仮眠時間が設けられています。仮眠室には簡易ベッドや布団、エアコンが完備されており、快適に休息できる環境が整っています。ただし、仮眠中でも緊急時には対応が必要なため、携帯電話やインターホンを持ったまま休みます。さらに、通常の休憩時間が1〜2時間設けられており、食事や休息を取ることができます。
夜勤手当と深夜割増
夜勤の大きなメリットは、給与アップです。22時から翌朝5時までの深夜時間帯に勤務した場合、労働基準法により通常の時給に25%以上の割増賃金が支給されます。例えば、時給1,200円の場合、深夜時間帯は時給1,500円となります。さらに、会社によっては夜勤手当として1勤務あたり1,000〜3,000円が別途支給されることもあります。「【関連記事】:警備員の年収を徹底分析」では、勤務形態別の年収差について詳しく分析しているので、給与面での選択を検討する際の参考になるでしょう。
変形労働時間制
警備員の勤務では「変形労働時間制」が採用されることが多く、この制度を理解することが重要です。
変形労働時間制の仕組み
1日8時間・週40時間という原則を、1ヶ月単位の平均で満たせば良いという制度です。警備業では「1ヶ月単位の変形労働時間制」が多く採用されており、12時間や24時間の勤務をしても、月の総労働時間が法定労働時間内であれば違法ではありません。例えば、2交代制で12時間勤務を月15日行った場合、総労働時間は180時間となり、月の法定労働時間(約177時間)を超えた分のみが残業として扱われます。この制度により、長い休日と長時間勤務を組み合わせた柔軟な働き方が実現できるのです。
残業時間の計算方法
残業時間は日単位ではなく月単位で計算されます。1ヶ月の法定労働時間は、その月の日数によって異なり、31日の月は177.1時間、30日の月は171.4時間となります。この法定労働時間を超えた分が残業として扱われ、残業代が支給されます。また、深夜時間帯(22時〜5時)の勤務については、法定労働時間内であっても25%の深夜割増が適用されます。
休憩時間と休日の取り方
休憩時間の確保と休日の取得はワークライフバランスに大きく影響します。実際の取り方について詳しく解説します。
休憩時間の実態
8時間勤務の場合は1時間の休憩時間が設けられます。一方、12時間勤務の場合は、仮眠時間3〜4時間に加えて、通常の休憩時間が2〜3時間設けられています。複数人で勤務する現場では交代で休憩を取り、常に誰かが警備業務を担当する体制を維持します。休憩室には冷蔵庫、電子レンジなどが完備されていることが多いです。
休日の取り方と有給休暇
2交代制では月8〜10日、3交代制では月8日程度が一般的です。シフト制のため、土日祝日が必ず休みになるわけではありませんが、事前に希望休を申請できる会社が多いです。有給休暇は入社から6ヶ月経過後に付与され、年10日からスタートします。事前に申請すれば有給休暇を取得できる会社が多く、計画的に連休を取ることも可能です。
施設警備と交通誘導の勤務形態の違い
警備員の仕事は大きく分けて施設警備と交通誘導の2種類があり、それぞれ勤務形態が大きく異なります。自分のライフスタイルや働き方の希望に合わせて、どちらの業務を選ぶかを検討しましょう。
施設警備の勤務形態
24時間体制が基本で、オフィスビル、商業施設、工場などで勤務します。勤務形態は2交代制または3交代制が主流です。2交代制は12時間勤務で月15〜16日、3交代制は8時間勤務で月20〜22日となります。夜勤手当や深夜割増があるため、給与面では交通誘導より高い傾向があります。また、屋内での勤務が中心なので、天候に左右されにくいのも特徴です。施設警備の具体的な業務内容については「【関連記事】:施設警備の仕事内容と年収」で詳しく解説されています。
交通誘導の勤務形態
日中の勤務が中心で、勤務時間は午前7時から午後6時までが多く、夜勤は比較的少ないです。週5〜6日の勤務で、給与は日給制が多く、1日あたり9,000〜12,000円程度が相場です。屋外での勤務となるため、天候の影響を受けやすいのが特徴です。一方、生活リズムを保ちやすく、家族との時間を大切にしたい方に向いている働き方です。「【関連記事】:交通誘導警備の仕事」では、交通誘導警備の具体的な業務内容と資格要件について詳しく説明しています。
まとめ: 警備員の勤務形態を理解して自分に合った働き方を選ぼう
警備員の勤務形態は、2交代制・3交代制の違い、夜勤の有無、施設警備か交通誘導かによって大きく異なります。
- 2交代制は12時間勤務で休日が多く、まとまった休みを取りやすいのが魅力
- 3交代制は8時間勤務で体への負担が少ないものの、勤務日数が月20〜22日と多い
- 夜勤は深夜手当による給与アップがある一方、生活リズムの調整が必要
- 施設警備は24時間体制で給与が高く、交通誘導は日中勤務で生活リズムが安定しやすい
自分のライフスタイルや体力、給与の希望に合わせて、最適な勤務形態を選ぶことが成功の鍵です。転職前に勤務形態をしっかり理解することで、入社後のミスマッチを防ぎ、長く働き続けることができます。警備職への転職を検討している方は、「【関連記事】:未経験から警備員になる完全ガイド」で採用条件や研修制度について詳しく確認することをお勧めします。
警備職の基礎知識
仕事内容と勤務形態
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- 交通誘導警備の仕事|道路工事現場の 1 日と資格
- 身辺警護(ボディガード)の仕事|高年収 4 号警備
- 警備員の 1 日のスケジュール|施設警備と交通誘導を比較
- 警備員の勤務形態を解説| 24 時間交代制・夜勤の実態
給与・待遇
資格・スキル
- 警備業務検定とは| 6 種類の資格と取得方法を完全解説
- 施設警備 2 級資格の取得方法|未経験から合格する対策
- 交通誘導警備 2 級の資格|実技試験の内容と合格のコツ
- 警備員指導教育責任者になるには|必須資格を徹底解説
- 警備業務管理者の資格と役割|営業所責任者の条件
転職ガイド
- 未経験から警備員になる完全ガイド|採用条件・研修制度
- 警備員の志望動機の書き方|未経験者向け例文とポイント
- 警備員の面接対策|よく聞かれる質問と回答例を完全網羅
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