施設警備の仕事内容と年収|未経験からの始め方

施設警備は、建物やその利用者の安全を守る重要な仕事です。未経験から始められる職業として人気がありますが、「具体的にどんな業務をするのか」「年収はいくらか」「どうやって始めるのか」といった疑問をお持ちの方も多いでしょう。
本記事では、施設警備の具体的な仕事内容から年収相場、勤務形態、必要な資格、未経験からの始め方までを詳しく解説します。転職を検討している方はぜひ参考にしてください。
施設警備(1号警備)とは
施設警備は警備業法で定められた「1号警備」に分類される業務で、オフィスビルや商業施設、病院、マンションなどの施設内で、建物と利用者の安全を守るのが目的です。警備業務は警備業法により1号から4号まで分類されており、その中で施設警備は1号警備として位置づけられています。
屋内勤務が中心で天候に左右されにくく、比較的安定した環境で働けるのが特徴です。交通誘導警備(2号警備)や雑踏警備(3号警備)と異なり、屋内施設での勤務が基本となるため、季節や天気の影響をほぼ受けません。
施設警備の特徴
施設警備の最大の特徴は屋内勤務が中心であることです。交通誘導警備(2号警備)のように屋外で長時間立ちっぱなしではなく、雨や雪、猛暑などの天候の影響を受けにくい環境で働けます。
同じ施設への長期勤務が多いため、勤務場所や業務内容が安定しており、経験を積むほど業務がスムーズになります。施設の構造や利用者の特性を理解することで、より効率的で質の高い警備ができるようになるのです。また、警備室や防災センターといった拠点があるので、休憩や仮眠を取りやすいのも大きなメリットです。
主な勤務場所
施設警備の勤務先は様々です。オフィスビルでは受付業務や巡回業務を行い、従業員や来訪者の安全を守ります。商業施設(ショッピングモール、デパート)では館内巡回や防災センター監視が主な業務です。病院では夜間の受付対応や安全確認、マンションでは管理人室での勤務、公共施設(図書館、市役所)でも警備業務があります。自分の希望に合った勤務先を選びやすいのが特徴です。
施設警備の具体的な仕事内容
– [巡回業務](#巡回業務) – [受付・案内業務](#受付案内業務) – [監視業務](#監視業務)
施設警備の業務は大きく「巡回業務」「受付・案内業務」「監視業務」の3つに分かれます。施設によって業務の比重は異なりますが、これらを組み合わせて行うのが一般的です。
巡回業務
巡回業務は施設警備の中心的な業務です。決められたルートで定期的に館内を巡回し、施設内の異常や不審者の有無を確認し、安全性を維持します。
1時間から2時間ごとに各フロアの施錠確認、照明の確認、水漏れ・異臭の有無、不審物チェックなどを行います。巡回時には専用端末でチェックポイントを打刻し、記録を残すのが一般的で、この記録は施設の安全管理の重要な証拠となります。特に夜間は無人フロアの異常発見が重要で、エレベーターや空調設備の稼働状況も確認し、問題があれば速やかに報告し対応します。警備員の1日の具体的なスケジュールについては「【関連記事】警備員の1日のスケジュール|施設警備と交通誘導を比較」を参考にしてください。
受付・案内業務
受付・案内業務は施設の「顔」となる重要な仕事で、来訪者対応や入退館管理を通じてセキュリティを維持します。
主な業務は、来訪者の受付対応と取り次ぎ、入館証の発行・回収、駐車場管理、宅配便・郵便物の受け取り、電話応対など多岐にわたります。オフィスビルではテナント企業の従業員や来客への丁寧な対応が求められ、施設案内やトイレの場所を聞かれることも多いため、コミュニケーション能力が必須です。緊急時は避難誘導も担当するため、常に冷静な判断力が求められます。
監視業務
監視業務は防災センターや警備室で防犯カメラのモニターを監視し、異常を早期に発見する業務です。
複数のカメラ映像を同時に確認し、火災報知器や防犯センサーの監視、異常時の初動対応、巡回員との連携、入退館システム管理などを行います。特に大規模な商業施設や高層ビルでは重要な業務です。不審な動きを見逃さない観察力と、記録を正確に残す事務能力が求められます。火災や地震などの緊急時には、館内放送や関係機関への通報など迅速な対応が必要です。
施設警備の年収と給与
– [平均年収と月給](#平均年収と月給) – [時給と各種手当](#時給と各種手当) – [経験年数別の収入例](#経験年数別の収入例)
年収は経験年数、勤務形態、資格の有無で変動します。転職を検討する際、収入は重要な判断材料になります。
平均年収と月給
施設警備員の平均年収は約335万円で、月給は27万円から28万円程度が相場です。この水準は警備業界の中でも比較的安定した収入レベルとなっています。詳細な年収分析については「【関連記事】警備員の年収を徹底分析|平均給与・業務別・年齢別」をご覧ください。
初任給は月給23万円から25万円程度からのスタートが一般的で、未経験でも最初から正社員として採用されるケースが多いため安定した収入を得られます。経験を積むことで確実に昇給があり、3年以上の経験者なら月給30万円以上も十分可能です。施設警備業務検定2級などの資格取得で資格手当が加算され、さらなる収入アップにつながります。年2回の賞与は基本給の2から3ヶ月分程度が相場となっており、ボーナス時の収入も見込めます。
時給と各種手当
アルバイト・パートの時給は1,100円から1,300円が相場で、東京や大阪などの都市部では時給1,300円以上の求人も見られます。同じ警備業界の他の職種と比較しても、比較的良好な時給水準となっています。
夜勤は深夜割増(22時から5時は基本給の25%増)が適用されるため、時給換算で1,400円から1,600円程度になり、夜勤を選択することで効率的に収入を増やせます。施設警備業務検定2級の資格があれば、月額5,000円から10,000円の資格手当が加算されます。加えて交通費は全額支給が一般的で、制服も貸与されるため、実質的な労働者負担は少なくなります。
経験年数別の収入例
1年目は月給24万円程度で年収300万円程度のスタートとなります。この時期は基本業務を習得する期間で、夜勤手当を含めた収入です。3年目は月給28万円、年収350万円程度が目安で、施設警備業務検定2級の取得で資格手当が加算されることが多くなります。
5年目以上なら月給32万円以上、年収400万円以上も十分可能で、現場リーダーや班長として役職手当が付き始めます。さらに隊長や管理者にキャリアアップできれば、年収450万円から500万円も目指せるようになります。経験とスキルを積み、資格を取得することで、着実に収入を増やせる職業です。
施設警備の勤務形態
– [24時間交代制の仕組み](#24時間交代制の仕組み) – [休憩時間と仮眠](#休憩時間と仮眠)
24時間体制で施設を守るため、交代制勤務が基本です。日勤のみの勤務先もありますが、多くの施設では夜勤を含むシフト勤務となります。
24時間交代制の仕組み
2交代制または3交代制のシフト勤務が一般的です。2交代制は8時から20時の日勤と20時から翌朝8時の夜勤を交代で担当します。3交代制は日勤(8時から16時)、準夜勤(16時から24時)、夜勤(24時から8時)に分かれています。
一般的なローテーションは「日勤2日→休み1日→夜勤2日→休み2日」のパターンです。オフィスビルでは日勤のみの求人もあり、「平日9時から18時」といった通常時間で働けるケースもあります。自分のライフスタイルに合わせて勤務形態を選べるのが施設警備の魅力です。
休憩時間と仮眠
労働基準法に基づいて適切な休憩時間が設けられています。8時間勤務なら1時間、12時間勤務なら合計2時間程度の休憩が取れます。
夜勤時は通常2時間から3時間の仮眠が認められており、多くの施設に仮眠室が完備されており、ベッドや布団で休めます。食事は持参するか、施設内の食堂や近隣のコンビニで購入するのが一般的です。休憩室には冷蔵庫や電子レンジが用意されている施設も多く、快適に休憩できる環境が整っています。ただし緊急時には休憩中でも対応が求められるため、常に連絡が取れる状態にしておく必要があります。
施設警備に必要な資格とスキル
– [必須の教育と資格](#必須の教育と資格) – [求められるスキル](#求められるスキル)
特別な資格は必須ではありませんが、入社後に警備業法で定められた教育を受ける必要があります。キャリアアップのためには検定資格の取得が推奨されます。
必須の教育と資格
警備業法に基づく「新任教育」を受けることが義務付けられている。新任教育は合計30時間(基本教育15時間、業務別教育15時間)で、警備業法、護身術、救急法、消防設備などを学びます。
この教育は入社後に会社が実施するため、未経験でも問題ありません。配属後も年間10時間以上の「現任教育」が義務付けられており、継続的にスキルアップできます。ステップアップを目指す場合は「施設警備業務検定2級」の取得がおすすめです。合格すると資格手当が支給され、昇進や転職でも有利になります。「【関連記事】施設警備2級資格の取得方法|未経験から合格する対策」で詳しい取得方法を解説しています。検定1級なら高度な業務を担当でき、管理職への道も開けます。
求められるスキル
最も重要なのはコミュニケーション能力です。来訪者対応や施設利用者との会話、緊急時の連絡調整など、人と接する機会が多いため、丁寧な言葉遣いと適切な対応が必須です。
次に必要なのが観察力です。巡回中に小さな異変に気づく力や、モニター監視で不審な動きを見逃さない集中力が重要です。また長時間の立ち仕事や巡回業務に耐えられる基礎体力も求められます。責任感も欠かせず、施設の安全を守るという役割を担うため、決められた業務を確実にこなす真面目さが必要です。加えて、火災や地震、体調不良者の発生など、予期せぬ事態に冷静に対処できる判断力が重要です。
未経験から施設警備を始める方法
– [求人の探し方](#求人の探し方) – [採用から配属まで](#採用から配属まで)
未経験者を積極的に採用している業界です。特別な経験や資格がなくても、やる気と誠実さがあれば採用される可能性は高いでしょう。
求人の探し方
求人サイト(Indeed、タウンワーク、バイトルなど)での検索が最も一般的です。「施設警備」「1号警備」「警備員」などのキーワードで多数の求人が見つかります。
ハローワークでも豊富な求人があり、職員に相談しながら探すことができます。警備会社のホームページから直接応募することも可能で、大手警備会社(ALSOK、セコム、CSPなど)は常時採用を行っており、未経験者歓迎の求人が多数あります。転職エージェントを利用すれば、希望条件に合った求人紹介と面接対策などのサポートも受けられます。
採用から配属まで
書類選考と面接が行われ、面接では志望動機や勤務可能時間、夜勤の可否などを聞かれます。未経験でも誠実な対応を心がければ、採用される可能性は高いです。面接対策について詳しく知りたい方は「【関連記事】警備員の面接対策|よく聞かれる質問と回答例を完全網羅」を参考にしてください。
採用後は健康診断を受けます(警備業法で健康が要件)。その後、新任教育(30時間)を受講し、警備業務の基礎知識や法律、実技訓練などを学びます。教育修了後、配属先が決定され、先輩警備員と一緒に業務を行う同行研修があり、実際の業務の流れを学びます。通常1週間から2週間程度で独り立ちし、一人で業務を担当できるようになります。未経験でも段階的に学べる体制が整っているため、安心してスタートできます。
まとめ:施設警備で安定したキャリアを築くために
– 未経験からでも始められる安定した職業 – 屋内勤務が中心で天候に左右されない – 平均年収335万円で、経験と資格で着実に収入アップ可能 – 資格取得による昇進・転職でのアドバンテージ – 段階的な教育体制で未経験者も安心してスタート可能 – 24時間交代制で生活リズムの調整が可能 – 全額支給される交通費と貸与される制服で負担が少ない
施設警備は未経験からでも始められる安定した職業です。屋内勤務が中心で天候に左右されず、資格取得で確実にキャリアアップできます。24時間交代制は慣れるまで大変ですが、休憩や仮眠環境が整っており、労働環境は改善されています。必須資格はなく、入社後の教育でしっかり学べるため、だれでもチャレンジできます。
求人サイトやハローワークで求人を探して、施設警備でのキャリアをスタートさせることをおすすめします。
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