営業の年収を業界別・職種別に徹底分析|平均460万円から1000万円超えを目指す方法

「営業職って実際どれくらい稼げるの?」「年収1000万円超えは可能なの?」営業職への転職を考えている方や、現在営業職として年収アップを目指している方にとって、年収相場は最も気になるポイントの一つです。
営業職の年収は業界や職種によって大きく異なり、平均年収460万円〜534万円という統計データがある一方で、医療機器営業や金融営業では年収800万円〜1000万円超えも珍しくありません。この差は業界の収益性やインセンティブ制度の違いによって生まれます。
本記事では、営業職の年収を業界別・職種別に徹底分析し、年収1000万円超えを実現するための具体的な戦略をご紹介します。業界選択から転職タイミング、年収交渉のテクニックまで、営業職で高年収を実現したい方必見の内容です。
営業職の平均年収は460万円〜534万円|年齢別・性別の傾向
営業職の平均年収について、複数の統計データを見ていきましょう。国税庁の「民間給与実態統計調査」によると、営業職を含む「営業従事者」の平均年収は約534万円です。一方、転職サイトdodaの調査では営業職の平均年収は460万円となっており、調査対象や企業規模によって差があります。
この年収レンジは日本の平均年収443万円(国税庁2022年調査)と比較するとやや高めですが、営業職特有のインセンティブ制度によって個人差が大きいのが特徴です。成果を出せる営業パーソンは平均を大きく上回る年収を獲得している一方、未達が続くと平均を下回ることもあります。営業職としてのキャリアを検討している方は、「【関連記事】:営業の仕事内容を徹底解説|1日の流れから業務の種類まで未経験者向けガイド」も併せてご覧ください。
20代・30代・40代の年収推移
営業職の年収は年齢とともに着実に上昇していきます。20代前半(20〜24歳)の営業職平均年収は約350万円〜400万円からスタートし、20代後半(25〜29歳)では450万円〜500万円に上昇します。この時期は営業スキルの基礎を習得し、顧客との関係構築力を磨く重要な期間です。
30代に入ると年収は大きく伸び、30代前半で550万円〜600万円、30代後半では600万円〜700万円に達します。この年代では営業マネージャーや主任などの役職に就く人も増え、基本給の上昇とマネジメント手当が年収を押し上げます。また、営業スキルの成熟により安定した成果を出せるようになり、インセンティブも増加傾向にあります。
40代になると、課長・部長クラスへの昇進により年収は700万円〜900万円に到達するケースが多くなります。ただし、この年代では役職に就けるかどうかで年収に大きな差が生まれ、プレイヤーとして残る場合は600万円台で推移することもあります。業界や企業規模によっても差が大きく、大手企業の営業部長であれば1000万円超えも珍しくありません。年代別の成長戦略については、「【関連記事】:営業職の種類を完全網羅|16種類の営業タイプから自分に合った営業を見つける方法」で詳しく解説しています。
男女の年収差とその背景
営業職における男女の年収差は、他の職種と比較すると比較的小さいのが特徴です。厚生労働省の調査によると、営業職の男性平均年収は約560万円、女性は約420万円となっており、差は約140万円です。
この差が生まれる主な要因は、勤続年数と役職の違いにあります。女性営業職は結婚・出産を機に退職するケースがまだ多く、平均勤続年数が男性より短い傾向があります。また、営業マネージャーや管理職への昇進率も男性の方が高く、これが年収差につながっています。
ただし、成果主義の営業職では性別による給与差別は少なく、同じ成果を出せば同等の評価を得られる企業が増えています。特にIT/SaaS業界や外資系企業では、完全実力主義の評価制度を採用しており、女性でも高年収を実現しやすい環境が整っています。営業職が自分に適しているかどうかを判断する際は、「【関連記事】:営業に向いている人の特徴7選|適性チェックリストと未経験からの成功法」を参考にして、自分の適性を確認することをお勧めします。
基本給とインセンティブの割合
営業職の給与構造は、基本給とインセンティブ(歩合給・成果報酬)の組み合わせで構成されます。この割合は業界や企業によって大きく異なり、年収の安定性やポテンシャルを左右する重要な要素です。
最も一般的なのは「固定給70%:インセンティブ30%」の割合です。例えば年収500万円の場合、基本給が350万円、インセンティブが150万円となります。この構造は安定性と成果報酬のバランスが取れており、IT/SaaS営業や人材営業で多く採用されています。
一方、不動産営業や保険営業では「固定給50%:インセンティブ50%」、さらには「固定給30%:インセンティブ70%」という成果報酬比率が高い給与体系も存在します。この場合、目標達成時の年収は高くなりますが、未達時の収入は大幅に減少するハイリスク・ハイリターン型です。
医療機器営業(MR)や大手メーカーの法人営業では、「固定給80%:インセンティブ20%」と固定給の割合が高く、安定志向の営業パーソンに人気があります。また、外資系企業では基本給は低めでもインセンティブ率が非常に高く、トップセールスになれば年収2000万円超えも可能な制度設計になっています。
自分のリスク許容度とキャリアステージに合わせて、適切な給与構造の企業を選ぶことが重要です。
業界別の営業年収ランキング|医療機器・金融・ITが高年収
営業職の年収は業界選択によって大きく変わります。ここでは主要業界の年収ランキングと、各業界の特徴を詳しく解説します。高年収を実現したい方は、まず業界選択から戦略的に考えることが重要です。
- 医療機器営業(MR)の年収:平均600万円〜800万円
- 金融業界(証券・保険)の年収:平均550万円〜900万円
- IT/SaaS営業の年収:平均500万円〜700万円
- 不動産営業の年収:平均400万円〜1000万円超
- その他業界の年収比較(人材・広告・メーカー)
- 業界選択が年収に与える影響
医療機器営業(MR)の年収:平均600万円〜800万円
医療機器営業(MR: Medical Representative)は、営業職の中でも最高水準の年収を誇ります。平均年収は600万円〜800万円で、大手製薬会社や外資系医療機器メーカーでは1000万円超えも珍しくありません。
MRの高年収を支えるのは、製薬業界の高い利益率と専門性の高さです。医薬品や医療機器は規制産業であり参入障壁が高く、企業の収益性が高いため営業職への還元も大きくなります。また、医学知識や薬事法の理解が必要な専門職であることも、高年収の理由の一つです。
インセンティブ制度は比較的穏やかで、固定給の比率が高いのが特徴です。基本給が高く設定されており、未経験からでも年収500万円〜600万円でスタートできるケースが多く、経験を積めば安定的に700万円〜800万円に到達します。マネージャークラスになれば年収1000万円〜1200万円も実現可能です。
ただし、MRになるには製薬会社の新卒採用か、医療業界での営業経験が求められることが多く、未経験からの転職ハードルはやや高めです。
金融業界(証券・保険)の年収:平均550万円〜900万円
金融業界の営業職は、証券営業と保険営業で年収構造が大きく異なります。証券会社の営業職(リテール営業・IFA)の平均年収は600万円〜900万円で、大手証券会社では1000万円超えも一般的です。一方、生命保険・損害保険の営業は平均550万円〜700万円と幅があります。
金融営業の最大の特徴は、インセンティブ比率の高さです。特に証券営業では「固定給40%:インセンティブ60%」といった成果報酬型が多く、トップセールスになれば年収2000万円以上も可能です。顧客の資産運用額や取引高に応じてコミッションが発生し、大口顧客を獲得できれば一気に年収が跳ね上がります。
保険営業も同様に歩合制の比率が高く、契約件数と保険料に応じたインセンティブが支給されます。ただし、固定給が低めに設定されているケースが多く、成果が出ない期間は収入が不安定になるリスクがあります。
金融業界の営業は高年収を実現できる一方で、ノルマのプレッシャーが大きく、離職率も高めです。成果主義の環境で自分を高めたい、高年収を追求したい方に向いています。
IT/SaaS営業の年収:平均500万円〜700万円
IT/SaaS営業は、近年最も注目されている営業職の一つです。平均年収は500万円〜700万円で、業界の成長性と将来性の高さから人気が高まっています。特にクラウドサービスやビジネスソフトウェアを扱うSaaS企業では、営業職の需要が急増しています。
IT/SaaS営業の年収構造は「固定給70%:インセンティブ30%」が一般的で、安定性と成果報酬のバランスが取れています。未経験からのスタート年収は400万円〜500万円ですが、スキルを磨けば30代で600万円〜800万円、マネージャークラスでは900万円〜1200万円も実現可能です。
この業界の大きな魅力は、キャリアの将来性です。DX(デジタルトランスフォーメーション)推進により企業のIT投資が拡大しており、IT/SaaS営業の市場価値は今後も上昇が見込まれます。また、リモートワークやフレックス制度を導入している企業が多く、ワークライフバランスを重視する方にも適しています。
外資系IT企業やスタートアップでは、ストックオプションや株式報酬制度があり、会社の成長とともに年収が大きく跳ね上がる可能性もあります。
不動産営業の年収:平均400万円〜1000万円超
不動産営業は、年収レンジが最も広い営業職です。平均年収は400万円〜600万円ですが、トップセールスになれば年収1000万円〜3000万円超えも実現可能で、完全実力主義の世界です。
不動産営業の年収が大きく変動する理由は、完全歩合制や高いインセンティブ比率にあります。「固定給30%:インセンティブ70%」や「固定給20万円+フルコミッション」といった給与体系が一般的で、1件の成約で数十万円〜数百万円のインセンティブが得られます。高額物件を扱う投資用不動産営業や、タワーマンション販売では、1件の成約で100万円以上のインセンティブが発生することもあります。
ただし、成果が出ない期間は月収20万円〜30万円程度となり、収入の不安定性が大きな課題です。また、土日出勤や夜間対応が多く、ワークライフバランスは取りにくい傾向があります。
不動産営業に向いているのは、高いストレス耐性を持ち、短期間で高年収を実現したい方、営業力に自信がある方です。未経験からでも始めやすく、成果次第で一気に年収を上げられる魅力があります。
その他業界の年収比較(人材・広告・メーカー)
医療機器・金融・IT・不動産以外にも、注目すべき業界があります。
人材業界の営業(人材紹介・人材派遣)の平均年収は450万円〜650万円です。成功報酬型のインセンティブがあり、企業への人材紹介が決まれば年収の30%〜35%が報酬として入るため、トップエージェントは年収1000万円超えも可能です。未経験からの転職ハードルが低く、20代で高年収を目指せる業界です。
広告業界の営業は平均年収500万円〜700万円で、大手広告代理店(電通・博報堂など)では800万円〜1000万円以上も一般的です。クリエイティブな提案力と高いコミュニケーション能力が求められ、やりがいも大きい職種です。
メーカー営業(製造業の法人営業)は平均年収450万円〜600万円と、比較的安定しています。大手メーカーでは福利厚生が充実しており、ワークライフバランスを重視する方に人気です。インセンティブ比率は低めですが、固定給が高く安定した収入を得られます。
商社営業は大手総合商社で平均年収800万円〜1200万円と非常に高水準です。海外駐在や大規模プロジェクトに携わる機会があり、キャリアの幅が広がります。
業界選択が年収に与える影響
業界選択が年収に与える影響は非常に大きく、同じ営業職でも業界が違えば年収が200万円〜300万円以上変わることも珍しくありません。この差が生まれる主な要因は3つあります。
第一に、業界の収益性です。医療機器や金融のように利益率が高い業界では、従業員への還元も大きくなります。一方、小売業や飲食業など利益率が低い業界では、営業職の年収も抑えられる傾向があります。
第二に、商品・サービスの単価です。不動産や自動車のように高額商品を扱う営業は、1件あたりのインセンティブが大きくなります。IT/SaaSでも大規模システムの導入案件では、1件で数百万円〜数千万円の契約となり、高額インセンティブにつながります。
第三に、市場の成長性です。IT/SaaS業界のように市場が拡大している分野では、企業の業績が伸びやすく、営業職の年収も上昇しやすい環境にあります。
年収を最優先に考えるなら、医療機器・金融・IT/SaaS・商社といった高収益・高成長業界を選ぶことが最も効果的な戦略です。
営業職種別の年収比較|法人営業・個人営業・代理店営業
営業職は顧客のタイプによって、法人営業(BtoB)、個人営業(BtoC)、代理店営業に分類されます。それぞれ年収構造や働き方が大きく異なるため、自分に合った職種を選ぶことが重要です。
法人営業(BtoB)の年収:安定した高水準
法人営業の平均年収は500万円〜700万円で、営業職種の中では最も安定した高水準を維持しています。企業を顧客とするため、1件あたりの契約金額が大きく、長期的な取引関係を構築できるのが特徴です。
法人営業の年収が安定している理由は、固定給の比率が高いことにあります。「固定給70%〜80%:インセンティブ20%〜30%」という給与構造が一般的で、目標未達でも一定の収入が保証されます。また、大手企業の法人営業では、福利厚生や各種手当も充実しており、総合的な待遇は非常に良好です。
IT/SaaS、製造業、商社などの法人営業では、30代で600万円〜800万円、営業マネージャーになれば800万円〜1000万円の年収が標準的です。大手企業の部長クラスでは1200万円〜1500万円に達することもあります。
法人営業は提案力・課題解決力・長期的な関係構築スキルが求められる一方で、個人営業と比べてワークライフバランスが取りやすく、キャリアの安定性も高い職種です。高年収と安定性を両立したい方に最適です。
個人営業(BtoC)の年収:インセンティブ比率が高い
個人営業の平均年収は400万円〜600万円ですが、インセンティブ比率が高いため、成果次第で大きく変動します。不動産、保険、自動車、金融商品などの個人営業では、トップセールスになれば年収1000万円〜2000万円超えも珍しくありません。
個人営業の最大の特徴は、成果報酬の比率の高さです。「固定給40%〜50%:インセンティブ50%〜60%」や、完全歩合制の企業も多く存在します。住宅販売や投資用不動産営業では、1件の成約で50万円〜300万円のインセンティブが得られるケースもあり、年間10件以上成約できれば年収1000万円超えが現実的です。
ただし、個人営業は成果が出ない期間の収入が不安定になるリスクがあります。また、土日祝日の出勤や夜間対応が求められることが多く、プライベートの時間を確保しにくい傾向があります。飛び込み営業やテレアポなど、精神的にきつい業務も含まれます。
個人営業に向いているのは、短期間で高年収を実現したい方、人と接することが好きな方、ストレス耐性が高い方です。営業力に自信があれば、若いうちから高年収を得られる魅力的な職種です。
代理店営業・パートナー営業の年収
代理店営業(パートナー営業・チャネル営業)の平均年収は480万円〜650万円です。直接エンドユーザーに販売するのではなく、販売パートナーや代理店を開拓・支援する間接営業の役割を担います。
代理店営業の年収構造は、法人営業に近い安定型です。「固定給75%:インセンティブ25%」程度の比率で、新規代理店の開拓やパートナー企業の売上拡大に応じてインセンティブが支給されます。IT/SaaS企業やメーカーのチャネル営業では、30代で600万円〜750万円、マネージャークラスで800万円〜1000万円が一般的です。
代理店営業の魅力は、直接の顧客対応が少なく、戦略的な営業活動に集中できる点です。パートナー企業との長期的な関係構築や、販売戦略の立案・実行が主な業務となり、営業スキルに加えてマーケティングや戦略思考が磨かれます。また、ワークライフバランスが比較的取りやすく、残業時間も少ない傾向があります。
IT/SaaS業界やBtoB製造業で需要が高まっており、将来性のある営業職種の一つです。
営業マネージャー・管理職の年収
営業マネージャーや管理職への昇進は、年収を大きく引き上げる最も確実な方法の一つです。主任・係長クラスで年収600万円〜750万円、課長クラスで750万円〜1000万円、部長クラスで1000万円〜1500万円が一般的な水準です。
管理職の年収が高い理由は、基本給の大幅な上昇と役職手当の追加です。例えば、プレイヤー時代の基本給が月40万円(年480万円)だったのが、課長昇進で月55万円(年660万円)に上がり、さらに役職手当が月10万円(年120万円)加算されるケースもあります。加えて、チーム全体の売上に対するインセンティブも発生するため、総年収が大きく伸びます。
ただし、管理職になるとプレイヤー時代のような個人インセンティブは減少し、代わりにチームの成果が評価対象となります。マネジメントスキルやリーダーシップが求められ、部下の育成や組織運営の責任も重くなります。
営業マネージャーを目指すなら、30代前半までに確実な成果を出し、マネジメント経験を積むことが重要です。大手企業では35歳〜40歳で課長職、45歳〜50歳で部長職への昇進が標準的なキャリアパスです。
インセンティブ・歩合制の仕組みと年収への影響
営業職の年収を大きく左右するのが、インセンティブ(歩合制)の仕組みです。同じ業界・職種でも、インセンティブ制度の設計によって年収が数百万円変わることもあります。ここでは主要な給与モデルと、それぞれの年収への影響を解説します。
固定給+インセンティブ型の年収モデル
固定給+インセンティブ型は、営業職で最も一般的な給与モデルです。基本給が保証されているため収入の安定性があり、成果を出せば追加報酬が得られる仕組みです。
典型的な例として、年収500万円の営業職の場合、「基本給350万円(月約29万円)+インセンティブ150万円」という構成になります。インセンティブは売上目標の達成率に応じて変動し、目標100%達成で150万円、120%達成で200万円〜250万円といった設計が一般的です。
計算方法の具体例を見てみましょう。個人売上目標が年間1億円、インセンティブ率が売上の1.5%の場合、目標達成時のインセンティブは150万円です。目標を120%(1.2億円)達成すれば、1.2億円×1.5%=180万円のインセンティブとなり、年収は530万円になります。
この給与モデルのメリットは、未達時でも基本給があるため生活が安定すること、成果を出せば確実に年収が上がることです。IT/SaaS営業、メーカー営業、人材営業など多くの業界で採用されており、リスクとリターンのバランスが良い制度です。
キャリア初期は固定給比率が高めの企業を選び、営業力がついてきたらインセンティブ比率が高い企業に転職するのも有効な戦略です。
完全歩合制(フルコミッション)の年収モデル
完全歩合制(フルコミッション)は、基本給が最低限(月15万円〜20万円程度)で、売上のほぼ全てがインセンティブで構成される給与モデルです。ハイリスク・ハイリターン型で、不動産営業や保険営業、一部の金融営業で採用されています。
完全歩合制の特徴は、インセンティブ率の高さです。売上の10%〜30%が報酬として支払われるケースもあり、例えば5000万円の不動産を販売すれば、500万円〜1500万円のインセンティブが得られます。年間で数件の高額成約を実現できれば、年収1000万円〜3000万円超えも可能です。
ただし、成果が出ない期間は月収20万円程度になるリスクがあります。また、企業によっては最低売上ノルマが設定されており、未達が続くと退職を迫られることもあります。完全歩合制は営業力に絶対的な自信がある方、短期間で高年収を実現したい方に向いています。
完全歩合制で成功するには、見込み客の開拓力、クロージング力、精神的なタフネスが不可欠です。また、収入の変動に備えた貯蓄や資金管理も重要になります。20代〜30代前半の若手で、リスクを取れる環境にある方にとっては、キャリアの選択肢として検討する価値があります。
インセンティブ率が高い業界・企業の特徴
インセンティブ率が高い業界・企業には共通の特徴があります。これらを理解することで、高年収を実現しやすい環境を見極められます。
高額商品・サービスを扱う業界では、インセンティブ率が高くなります。不動産(数千万円〜数億円)、自動車(数百万円)、大型IT システム(数千万円〜数億円)などは、1件あたりの契約金額が大きいため、インセンティブも高額になります。
利益率が高い業界も、インセンティブ還元率が高い傾向があります。医療機器、金融商品、SaaS製品などは粗利率が50%〜80%と高く、営業職への成果報酬も手厚くなります。
外資系企業は日系企業と比べてインセンティブ比率が高く設定されています。「基本給40%:インセンティブ60%」という構造も珍しくなく、トップパフォーマーには年収2000万円〜5000万円といった報酬も支払われます。
ベンチャー・スタートアップ企業も、固定給は抑えめでもインセンティブ率が高い傾向があります。初期メンバーにはストックオプションが付与されることもあり、会社のIPOやM&Aが成功すれば数千万円〜数億円の利益を得られる可能性もあります。
インセンティブ率が高い企業を選ぶ際は、目標設定の妥当性や達成可能性も重要です。面接時に実際の達成率や平均インセンティブ額を確認しましょう。
年収1000万円超えを実現する営業職のキャリア戦略
営業職で年収1000万円超えを実現することは、決して不可能ではありません。適切な業界選択、スキル開発、キャリア戦略により、30代〜40代で年収1000万円〜1500万円に到達することが可能です。ここでは具体的な戦略を解説します。
高年収業界への転職タイミング
高年収業界への転職で最も重要なのは、タイミングの見極めです。理想的な転職タイミングは、現職で2〜3年以上の実績を積み、確実な成果を出せるようになった時期です。
20代後半(25〜29歳)の転職は、医療機器営業やIT/SaaS営業への未経験転職に最適です。この年齢であれば、ポテンシャル採用の可能性が高く、営業経験が2年以上あれば高年収業界への転職も十分可能です。年収は400万円台→550万円〜650万円へのアップが期待できます。
30代前半(30〜34歳)の転職は、キャリアアップと年収アップを両立できる黄金期です。営業実績とスキルを武器に、金融営業や外資系IT企業への転職を目指せます。年収600万円→800万円〜1000万円への大幅アップも現実的です。
30代後半(35〜39歳)の転職では、マネジメント経験が重視されます。営業マネージャーとしての実績があれば、より規模の大きい企業や高年収業界での管理職ポジションを狙えます。年収800万円→1000万円〜1200万円が目標レンジです。
転職前には、自分の営業実績を数値化し(前年比○○%達成、新規顧客○○社獲得など)、職務経歴書で明確にアピールすることが重要です。
成果を出すための営業スキル開発
年収1000万円超えを実現するには、高い営業成果が不可欠です。成果に直結する営業スキルを体系的に開発することで、インセンティブを最大化し、昇進やキャリアアップのチャンスを掴めます。
ヒアリング力と課題発見力は、法人営業で最も重要なスキルです。顧客の表面的なニーズではなく、本質的な課題を見抜く力を磨きましょう。SPIN話法(Situation, Problem, Implication, Need-payoff)などのフレームワークを学び、実践することで、顧客から信頼される営業パーソンになれます。
提案力とソリューション構築力は、高単価商品を扱う営業で必須です。顧客の課題に対して、自社商品・サービスをどう組み合わせれば最適な解決策になるかを考える力が求められます。業界知識と商品知識を深め、競合との差別化ポイントを明確に説明できるようになりましょう。
クロージング力は、成約率を左右する重要スキルです。適切なタイミングで契約を促し、顧客の不安や懸念を解消する技術を磨くことで、商談の成約率が大きく向上します。
データ分析力も現代の営業職には欠かせません。営業活動のKPI(商談数、提案率、成約率など)を分析し、PDCAサイクルを回すことで、効率的に成果を上げられます。SalesforceなどのCRMツールを使いこなすスキルも重要です。
マネジメント職へのキャリアアップ
営業職で年収1000万円を安定的に得る最も確実な方法は、マネジメント職への昇進です。課長クラスで年収800万円〜1000万円、部長クラスで1000万円〜1500万円が一般的な水準となります。
マネジメント職に昇進するには、営業成績だけでなくリーダーシップとマネジメント能力が必要です。30代前半までに、チームリーダーや主任といったポジションを経験し、部下の育成や目標管理の実績を積むことが重要です。
チームマネジメントスキルとして、目標設定、進捗管理、メンバーの育成、モチベーション管理などを体系的に学びましょう。営業マネージャーは個人の売上だけでなく、チーム全体の目標達成に責任を持ちます。
採用・育成経験も評価されます。新人営業の教育担当やOJT指導を積極的に引き受け、育成実績を作ることで、マネジメント職への道が開けます。
大手企業では35歳〜40歳で課長職への昇進が一般的ですが、成長企業やベンチャーでは30代前半でマネージャーになれるケースもあります。早期にマネジメント経験を積みたい方は、成長企業への転職も選択肢です。
外資系企業・スタートアップという選択肢
日系大手企業以外のキャリアパスとして、外資系企業やスタートアップへの転職も年収1000万円超えを実現する有力な選択肢です。
外資系企業の営業職は、年収レンジが非常に高く設定されています。外資系IT企業(セールスフォース、オラクル、マイクロソフトなど)や外資系医療機器メーカー(J&J、メドトロニックなど)では、30代で年収800万円〜1200万円、マネージャークラスで1500万円〜2500万円も珍しくありません。
外資系企業の特徴は完全実力主義です。年功序列はなく、成果を出せば年齢に関わらず高年収とポジションが得られます。一方で、未達が続けば退職を迫られるケースもあり、シビアな環境です。英語力が求められる場合も多く、グローバルな環境でキャリアを築きたい方に最適です。
スタートアップ企業も高年収の可能性があります。成長フェーズのSaaS企業やテック系スタートアップでは、初期メンバーの営業職にストックオプションが付与されることが多く、IPOやM&Aが成功すれば大きな利益を得られます。固定給は抑えめでも(年収600万円〜800万円)、ストックオプションの価値が数千万円〜数億円になる可能性もあります。
ただし、スタートアップは事業リスクが高く、会社が失敗すれば株式の価値はゼロになります。リスクを取れる年齢とライフステージの方にとっては、大きなリターンを狙える魅力的な選択肢です。
営業職の年収アップ転職を成功させるポイント
年収アップを目的とした転職を成功させるには、戦略的なアプローチが必要です。ここでは、営業職が転職で年収を上げるための具体的なポイントを解説します。
年収交渉の成功テクニック
年収交渉は転職活動で最も重要なステップの一つです。適切な交渉により、オファー年収を50万円〜100万円以上アップさせることも可能です。
交渉のタイミングは、内定が出た後、オファーレターを受け取る前が最適です。この段階では企業はあなたを採用したいと決めており、かつ条件変更の余地がある状態です。面接の初期段階で希望年収を聞かれた場合は、「現職の年収と経験を考慮して、適切な金額をご提示いただければと思います」と答え、具体的な数字は避けましょう。
交渉の根拠を明確に示すことが重要です。「現職の年収が○○万円で、今回の転職では○○万円以上を希望します」という形で、現職の年収を基準に交渉します。また、「前職では年間目標の120%を達成し、新規顧客を50社開拓した実績があります」など、成果を数値で示すことで、高年収の妥当性を説得できます。
市場価値を調べることも必須です。転職サイトの年収診断ツールや、同業界・同職種の年収相場を事前に調査し、自分の希望年収が妥当な範囲か確認しましょう。
交渉時は謙虚さと自信のバランスが大切です。「ぜひ貴社で働きたいと思っていますが、年収面で○○万円をご検討いただけないでしょうか」と、前向きな姿勢を保ちながら交渉しましょう。
転職エージェントの活用方法
転職エージェントを活用することで、年収アップ転職の成功確率が大きく高まります。特に営業職に強い転職エージェントは、非公開求人や高年収案件の情報を持っており、年収交渉も代行してくれます。
営業職に強い転職エージェントとして、リクルートエージェント、doda、ビズリーチ、JACリクルートメントなどがあります。複数のエージェントに登録し、求人の選択肢を広げることが重要です。
エージェント活用のコツは、自分の営業実績を具体的に伝えることです。「売上目標○○円に対して○○%達成」「新規顧客○○社開拓」など、数値で成果を示すことで、エージェントがあなたの市場価値を正確に把握し、適切な求人を紹介してくれます。また、希望年収は少し高めに伝え、エージェントと一緒に現実的なラインを見極めるのが効果的です。
職務経歴書で年収を上げるポイント
職務経歴書は、年収交渉の最も重要な材料です。営業職の職務経歴書では、営業実績を具体的な数値で示すことが年収アップの鍵になります。
「営業成績」の欄には、「20XX年度:売上目標5000万円に対して6500万円達成(達成率130%)、社内営業成績1位」のように、目標と実績を明確に記載しましょう。また、「新規顧客開拓:年間50社、既存顧客売上前年比120%達成」など、プロセス指標も含めることで、営業力の高さをアピールできます。
受賞歴や表彰も必ず記載します。「営業MVP受賞(全社200名中1位)」「新人賞受賞」などの実績は、客観的な評価として説得力があります。
営業手法やスキルも具体的に書きましょう。「新規開拓はテレアポと訪問営業を組み合わせ、月間100件のアプローチから20件の商談化、5件の成約を実現」のように、プロセスを明確にすることで、再現性の高さを示せます。
職務経歴書は定量的な実績が8割、定性的な説明が2割のバランスが理想です。営業職ほど数値でアピールしやすい職種はないので、この強みを最大限活用しましょう。転職活動をスムーズに進めるためには、面接対策も重要です。「【関連記事】:営業の面接対策完全ガイド|志望動機の書き方と未経験者が受かる自己PR例文」で、採用担当者に響く自己PRと志望動機の作成方法をご紹介しています。
まとめ:営業職の年収は業界選択と成果で大きく変わる
営業職の年収は業界・職種・企業によって460万円〜1000万円超えまで大きく変動します。本記事で解説した内容を以下にまとめます。
業界選択が最も重要です。医療機器営業(600万円〜800万円)、金融営業(550万円〜900万円)、IT/SaaS営業(500万円〜700万円)など、高収益・高成長業界を選ぶことで、年収の基礎水準が大きく上がります。
インセンティブ制度の理解も欠かせません。固定給+インセンティブ型なら安定性が高く、完全歩合制ならハイリスク・ハイリターンです。自分のリスク許容度とキャリアステージに合った給与体系を選びましょう。
年収1000万円超えを実現する戦略は、高年収業界への転職、営業スキルの体系的な開発、マネジメント職への昇進、外資系企業・スタートアップへの挑戦など、複数のルートがあります。30代で年収800万円〜1000万円、40代で1000万円〜1500万円は十分実現可能です。
転職活動では、職務経歴書で営業実績を数値化し、転職エージェントを活用して非公開求人にアクセスし、年収交渉を戦略的に行うことが成功の鍵です。
営業職は成果が年収に直結する職種です。業界選択とスキル開発に投資し、高年収を実現するキャリアを築いていきましょう。
仕事内容・基礎知識
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業界別営業
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年収・待遇
適性・スキル
やりがい・働き方
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転職・キャリア
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