不動産営業の仕事内容を徹底解説|年収・インセンティブと未経験から始める方法

不動産営業は、高収入を目指せる仕事として人気がある一方で、「きつい」「ノルマが厳しい」といったイメージも持たれています。実際のところ、不動産営業はどのような仕事をしているのでしょうか。
本記事では、不動産営業の具体的な仕事内容から年収・インセンティブの仕組み、未経験から始める方法まで徹底解説します。賃貸仲介と売買仲介の違い、向いている人の特徴、メリット・デメリットを理解することで、あなたが不動産営業に挑戦すべきかどうかの判断材料が得られるはずです。
不動産営業の仕事内容とは
不動産営業の仕事内容は、大きく「賃貸仲介営業」と「売買仲介営業」の2種類に分かれます。どちらも顧客のニーズに合った物件を提案し、契約まで導くことが主な業務ですが、取り扱う物件の種類や契約金額、顧客層が異なります。
不動産営業の1日は、朝の物件情報チェックから始まり、顧客との商談、物件案内、契約手続き、そして夕方以降の事務作業や翌日の準備まで多岐にわたります。店舗勤務が中心ですが、外回りや休日対応も多く、体力的にもハードな職種です。
賃貸仲介営業の仕事内容
賃貸仲介営業は、賃貸物件を探している個人顧客に対して物件を紹介し、契約までサポートする仕事です。主な顧客は、進学や就職、転勤などで新居を探している単身者やファミリー層です。
具体的な業務は、来店した顧客へのヒアリング、希望条件に合った物件の検索・提案、現地への物件案内、入居申込や賃貸借契約の手続きなどです。物件オーナーや管理会社との調整も重要な役割となります。賃貸仲介営業は、売買仲介に比べて契約単価は低いものの、回転率が高く、数をこなすことで安定した成果を上げることができます。接客スキルやスピード対応が求められる仕事です。
売買仲介営業の仕事内容
売買仲介営業は、マンション・戸建て・土地などの不動産を売りたい人と買いたい人をマッチングさせる仕事です。取り扱う金額が数千万円から億単位になるため、賃貸仲介よりも高度な専門知識と慎重な対応が求められます。
業務内容は、売却物件の査定・調査、売主との媒介契約締結、物件の広告・宣伝活動、購入希望者への物件案内、価格交渉の仲介、契約書類の作成と説明、決済・引き渡しのサポートなど多岐にわたります。1件の契約成立までに数ヶ月かかることも珍しくありません。その分、仲介手数料が高額になるため、1件の成約で大きなインセンティブを得られるのが特徴です。法律知識や税務知識も必要とされ、専門性の高い営業職といえます。
不動産営業の1日の流れ
不動産営業の1日は、朝9時頃の出社から始まります。まずメールや問い合わせの確認、新着物件情報のチェック、その日のアポイント確認を行います。10時頃から店舗が開店すると、来店顧客への対応や電話応対が中心となります。
午後は物件案内のための外回りが多くなります。複数の物件を1日で案内することもあり、移動時間も含めると数時間を外で過ごすことになります。夕方以降は再び店舗に戻り、契約書類の作成や顧客への提案資料準備、翌日のアポイント調整などの事務作業を行います。顧客の都合に合わせて、夜遅くまで商談が続くこともあります。土日祝日は顧客の来店が多いため、基本的に出勤となり、平日に代休を取得するのが一般的です。
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不動産営業の年収とインセンティブの仕組み
不動産営業の最大の魅力は、高収入を目指せる点です。固定給に加えて歩合制のインセンティブが設定されている企業が多く、成果次第で年収1,000万円以上を稼ぐことも可能です。
ただし、インセンティブの仕組みは企業によって大きく異なります。基本給が低めに設定され、売上に応じた歩合給の比率が高い完全実力主義の会社もあれば、安定した基本給にプラスアルファでインセンティブが支給される会社もあります。
不動産営業の平均年収
不動産営業の平均年収は約400万円〜600万円程度ですが、これは企業規模や業態、個人の成績によって大きく変動します。新卒や未経験者の初年度年収は300万円台からスタートすることが多いですが、成果を上げれば20代でも年収700万円〜800万円に到達することは十分可能です。
大手不動産会社では、基本給が比較的高めに設定されているため、成績が振るわなくても年収400万円程度は確保できます。一方、中小企業や独立系の不動産会社では基本給が低い代わりに歩合率が高く、トップセールスになれば年収1,000万円を超えることも珍しくありません。売買仲介営業の方が賃貸仲介営業よりも平均年収が高い傾向にあります。
インセンティブ(歩合)の仕組み
インセンティブは、契約した物件の仲介手数料に対して一定の割合が支給される仕組みが一般的です。例えば、3,000万円の物件を仲介した場合、仲介手数料は約100万円となり、その10%〜30%程度が営業担当者のインセンティブになります。歩合率は企業や個人の売上実績によって変動します。
支給タイミングは月次・四半期・年次など企業によって異なります。また、個人売上だけでなく、店舗全体の売上目標達成でチームボーナスが支給される制度を採用している企業もあります。インセンティブの計算方法や支給条件は入社前にしっかり確認することが重要です。基本給とインセンティブのバランスが、収入の安定性を左右します。
高収入を実現できる理由
不動産営業で高収入を実現できる理由は、取り扱う商品の単価が高額であることに尽きます。数千万円から億単位の不動産取引では、仲介手数料も高額になるため、1件の成約で数十万円から数百万円のインセンティブを得ることができます。
また、不動産は常に需要がある商品であり、景気に左右されにくい側面もあります。特に売買仲介では、富裕層や投資家を顧客に持つことで、継続的に高額案件を受注できる可能性があります。営業スキルと専門知識を磨き、顧客からの信頼を獲得できれば、紹介や リピートによって安定した高収入を維持することが可能です。
収入が不安定になるリスク
インセンティブ比重が高い給与体系では、成果が出ない月は収入が大幅に減少するリスクがあります。特に売買仲介では、1件の契約成立までに数ヶ月かかることも多く、その間はほとんど収入が増えない状態が続きます。
また、不動産市場は季節変動や経済状況の影響を受けやすく、繁忙期と閑散期で売上が大きく変わります。新人の頃は顧客基盤がないため、安定した収入を得るまでに時間がかかります。固定費のある生活設計をしている場合、収入の変動が家計に直接影響するため、ある程度の貯蓄や副収入の確保など、リスク管理が必要になります。
不動産営業に向いている人の特徴
不動産営業は誰にでも向いている仕事ではありません。高収入を目指せる魅力的な職種である一方で、ノルマのプレッシャーや顧客対応のストレスに耐えられず、早期に退職する人も少なくありません。
不動産営業で成功するためには、単に営業スキルがあるだけでなく、精神的な強さや継続的な学習意欲が求められます。ここでは、不動産営業に向いている人の4つの特徴を解説します。自分がこれらの特徴に当てはまるかどうか、客観的にチェックしてみてください。
コミュニケーション能力が高い人
不動産営業では、初対面の顧客と短時間で信頼関係を築き、数千万円の契約を成立させる必要があります。顧客の本音を引き出すヒアリング力、ニーズに合わせた提案力、契約に導く説得力が不可欠です。
また、顧客だけでなく、物件オーナー、管理会社、金融機関、司法書士など多くの関係者と円滑にコミュニケーションを取る必要があります。人と話すことが好きで、相手の立場に立って物事を考えられる人は、不動産営業で成功しやすいでしょう。
数字へのこだわりが強い人
不動産営業では、売上目標や契約件数などの数値目標が明確に設定されます。目標達成に向けて逆算思考で行動できる人、数字を追うことにやりがいを感じる人は、この仕事に向いています。
日々の行動量(架電数、来店数、案内件数など)を管理し、PDCAサイクルを回して改善できる人は、着実に成果を積み上げていけます。数字で評価されることにモチベーションを感じるタイプであれば、インセンティブ制度が大きな原動力になるでしょう。
ストレス耐性がある人
不動産営業では、契約直前でキャンセルになる、クレームを受ける、ノルマ未達成で上司から叱責されるなど、ストレスフルな状況が日常的に発生します。一時的な失敗や拒絶に落ち込まず、気持ちを切り替えて次の行動に移せる精神的なタフさが求められます。
また、土日祝日の出勤や夜遅くまでの残業が常態化しているため、体力的な負担も大きい仕事です。プレッシャーの中でも冷静に判断できる人、困難な状況を乗り越えることに達成感を感じられる人は、不動産営業に適性があります。
学習意欲が高い人
不動産業界では、法律改正や税制変更、市場トレンドの変化など、常に最新情報をキャッチアップする必要があります。宅地建物取引士の資格取得はもちろん、住宅ローン、相続、税務など幅広い知識が求められます。自ら積極的に学び続けられる人は、顧客からの信頼を得やすく、長期的に活躍できます。
未経験から不動産営業を始める方法
不動産営業は、未経験者にも門戸が広く開かれている職種です。学歴や職歴を問わず、やる気と適性があれば、誰でもチャレンジできる環境が整っています。
ここでは、なぜ未経験でも採用されやすいのか、具体的な転職ルート、取得しておくと有利な資格、そして入社後の研修制度やキャリアパスについて詳しく解説します。不動産営業への転職を考えている方は、ぜひ参考にしてください。
未経験でも採用されやすい理由
不動産業界は慢性的な人手不足に悩まされており、特に営業職は常に求人が出ている状態です。離職率が高い業界であるため、企業は常に新しい人材を求めています。そのため、未経験者でもポテンシャルややる気を評価して積極的に採用する企業が多いのです。
また、不動産営業は実力主義の世界であり、学歴や前職の経験よりも「成果を出せるかどうか」が重視されます。入社後の研修制度が充実している企業も多く、業界知識ゼロからでもスタートできる環境が整っています。コミュニケーション能力や行動力があれば、前職が全く関係ない業種でも問題なく転職できるのが不動産営業の特徴です。
不動産営業への転職ルート
不動産営業への転職には、主に転職サイト、転職エージェント、企業の直接応募の3つのルートがあります。転職サイトでは「不動産営業 未経験」で検索すると、数多くの求人が見つかります。大手から中小まで幅広く比較できるのがメリットです。
転職エージェントを利用すれば、非公開求人の紹介や面接対策のサポートを受けられます。特に、不動産業界に特化したエージェントは、企業の内部事情や給与体系の詳細を把握しているため、ミスマッチを防げます。また、気になる企業があれば、企業ホームページから直接応募するのも有効です。中途採用を積極的に行っている企業は、ホームページに採用情報を掲載していることが多いです。
取得しておくと有利な資格
不動産営業に必須の資格はありませんが、宅地建物取引士(宅建士)の資格を持っていると、採用や待遇面で大きく有利になります。宅建士は不動産取引の専門家として法律で認められた国家資格であり、契約の重要事項説明などの独占業務があるため、企業から高く評価されます。
入社前に取得していれば資格手当が支給される企業も多く、月1万円〜3万円程度の手当が上乗せされます。宅建士試験は年1回実施され、合格率は15%〜17%程度ですが、独学や通信講座で十分合格可能です。未経験で転職する場合、宅建士資格があることで「本気度」を示すことができ、選考で有利に働きます。
入社後の研修とキャリアパス
多くの不動産会社では、未経験者向けに1ヶ月〜3ヶ月程度の研修期間を設けています。研修内容は、不動産の基礎知識、営業ロールプレイング、物件の見方、契約書類の作成方法など実務に直結するものです。大手企業ほど研修制度が充実しており、OJT(実地研修)と座学を組み合わせた体系的な教育を受けられます。
キャリアパスとしては、営業担当→主任→店長→エリアマネージャーといった管理職ルートと、トップセールスとして営業のスペシャリストを目指すルートがあります。また、営業経験を活かして独立開業する人や、不動産投資家に転身する人もいます。実力次第で多様なキャリアを描ける点が、不動産営業の魅力の一つです。
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不動産営業のメリットとデメリット
不動産営業には、高収入や成長機会といった大きなメリットがある一方で、長時間労働やプレッシャーといったデメリットも存在します。転職を検討する際は、両面をしっかり理解した上で判断することが重要です。
ここでは、不動産営業のメリットとデメリットを正直に解説します。
不動産営業のメリット
不動産営業の最大の魅力は、努力次第で高収入を実現できることです。また、実力主義の環境で営業スキルを磨けることや、学歴・経歴を問わずチャレンジできる点も大きなメリットです。
高収入を目指せる
インセンティブ制度により、20代で年収1,000万円を超えることも可能です。成果が直接収入に反映されるため、頑張った分だけ報酬を得られる達成感があります。特に売買仲介では、1件の成約で数十万円のインセンティブを得られることもあります。
営業スキルが身につく
顧客との信頼関係構築、提案力、交渉力、クロージング技術など、あらゆる業界で通用する営業スキルが身につきます。高額商品を扱うため、法律知識や金融知識も自然と習得できます。これらのスキルは、将来的に独立起業する際や他業界への転職時にも大いに役立ちます。
学歴・経歴不問の求人が多い
不動産営業は、学歴や職歴よりも人間性やコミュニケーション能力が重視されます。高卒でも、異業種からの転職でも、やる気があれば平等にチャンスが与えられます。実力主義の環境で、自分の努力次第でキャリアアップできる点は、大きな魅力です。
不動産営業のデメリット
一方で、不動産営業には労働時間の長さやプレッシャー、クレーム対応といった厳しい側面もあります。これらのデメリットを理解せずに入社すると、早期退職につながる可能性があります。
労働時間が長くなりがち
顧客の都合に合わせるため、土日祝日の出勤や夜遅くまでの残業が常態化しています。賃貸繁忙期(1月〜3月)は特に忙しく、休日が取れないこともあります。ワークライフバランスを重視する人には厳しい環境です。
成果が出ないとプレッシャーがある
ノルマが設定されており、未達成が続くと上司からの叱責や社内での立場悪化につながります。成果主義の環境は、成功すれば大きなリターンがある一方で、結果が出ない時期は精神的に追い込まれることもあります。
クレーム対応が求められる
契約後のトラブルや顧客からのクレームに対応する必要があります。不動産は高額商品であるため、顧客の期待値も高く、些細なことでもクレームに発展しやすい傾向があります。理不尽な要求に耐える精神力も必要です。
まとめ: 不動産営業は高収入を目指せるが覚悟も必要
不動産営業は、高収入を目指せる魅力的な職種である一方で、長時間労働やノルマのプレッシャーといった厳しい側面も持ち合わせています。賃貸仲介営業と売買仲介営業では業務内容や収入構造が異なるため、自分に合った領域を選ぶことが重要です。
年収については、平均400万円〜600万円程度ですが、インセンティブ制度によって成果次第で1,000万円以上を稼ぐことも可能です。ただし、収入が不安定になるリスクもあるため、固定給とインセンティブのバランスを事前に確認しておく必要があります。
不動産営業に向いているのは、コミュニケーション能力が高く、数字へのこだわりが強く、ストレス耐性があり、学習意欲が高い人です。これらの特徴に当てはまる人は、不動産営業で成功する可能性が高いでしょう。
未経験からでも挑戦しやすく、学歴・経歴不問で採用される企業が多いのも不動産営業の特徴です。宅地建物取引士の資格を取得しておけば、さらに有利に転職活動を進められます。入社後は充実した研修制度があるため、業界知識ゼロからでもスタートできます。
不動産営業への転職を考えている方は、メリットとデメリットの両面を理解した上で、「高収入を目指して厳しい環境でも頑張れるか」「実力主義の世界で成果を出し続ける覚悟があるか」を自問自答してみてください。その答えが「YES」であれば、不動産営業はあなたにとって大きなチャンスとなるはずです。
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