警備員のメリット・デメリット|働き方の魅力と厳しさ

警備員は「未経験で始めやすい」「年齢不問」といったメリットがある一方で、「給与が低い」「身体的負担が大きい」というデメリットもあります。この記事では両面を徹底比較し、業務の種類別の特徴や向き不向きまで詳しく解説します。転職を検討している方の判断材料になれば幸いです。
警備員として働く5つの主なメリット
警備員の仕事には、他の職種にはない独自のメリットが多くあります。特に働き方の柔軟性や年齢に関する門戸の広さが魅力です。
未経験でも始めやすく資格取得支援が充実
警備員の最大のメリットは未経験からのスタートが容易な点です。多くの警備会社では入社後に法定の新任教育(30時間以上)を実施し、必要な知識やスキルを一から教えてくれます。警備業務検定などの資格取得を支援する企業も多く、受験費用の補助や試験対策講習が無料で受けられるケースもあります。資格を取得すれば手当が付き、給与アップにつながります。50代や60代からスタートして資格を取得し活躍している人も多いです。
シフトの柔軟性と副業・Wワークのしやすさ
警備員はシフト制で、働く日数や時間帯を比較的自由に選べます。週2日だけ、夜勤専門、土日だけといった働き方が可能で、ライフスタイルに合わせて勤務形態を選択できます。副業やWワークとの相性も良く、平日は別の仕事をして週末だけ警備員として働く、昼間は自営業で夜間は警備員として働く人も多いです。フリーランスや個人事業主が収入の安定化のために警備員の仕事を組み合わせるケースも増えています。
年齢や学歴に関係なく安定した雇用が得られる
警備員の仕事は、年齢や学歴による制限が他の職種より少ないのが特徴です。一般企業では年齢が高いほど転職は難しくなりますが、警備業界では40代、50代、60代以上でも積極的に採用されています。定年退職後のセカンドキャリアとして選ぶ人も多く、体力と健康があれば年齢を重ねても働き続けられます。学歴不問で採用する企業がほとんどで、中卒や高卒でも正社員として安定した雇用を得られるチャンスが豊富です。
夜勤手当で効率的に稼げる
夜勤シフトに入ることで、夜勤手当や深夜割増賃金を得られます。労働基準法では午後10時から午前5時までの深夜労働に対して25%以上の割増賃金の支払いが義務付けられており、企業独自の夜勤手当が上乗せされることもあります。日勤の日給が1万円であれば、夜勤では1万3千円以上になるケースも珍しくありません。施設警備の夜勤では仮眠時間が設けられている現場も多く、実働時間が短い割に高い日給を得られることがあります。
人間関係のストレスが比較的少ない
警備員の業務は基本的に一人で配置されることが多く、職場の複雑な人間関係に悩まされにくいというメリットがあります。自分のペースで業務に集中でき、引継ぎや報告に必要な最低限の会話で済むことがほとんどです。社内政治や派閥争いとは無縁の働き方ができ、人付き合いが苦手な人には精神的な負担が少ない環境として魅力的です。クライアントとの接点も限定的で、接客業のようなクレーム対応に追われることも少ないため、対人ストレスを最小限に抑えながら働けます。
警備員として働く5つの主なデメリット
警備員の仕事には多くのメリットがある一方で、無視できないデメリットも存在します。転職検討時には、これらの厳しい現実もしっかり理解することが重要です。
長時間の立ち仕事による身体的負担
警備員の仕事で最も大きなデメリットの一つが、長時間の立ち仕事による身体的負担です。施設警備では基本的に立哨が中心で、1日8時間以上立ちっぱなしというケースも珍しくありません。交通誘導警備では一日中屋外で立ち続け、誘導旗を振り続ける必要があり、足腰や膝への負担が非常に大きくなります。40代以降になると腰痛や膝痛、足のむくみといった症状に悩まされる人が増えてきます。加齢とともに体力の衰えを感じやすい職種であり、長期的なキャリアとして続けるには健康管理が不可欠です。
給与水準が低く昇給の機会が限られる
警備員の給与水準は全体的に低く、大幅な収入アップは期待しにくいです。厚生労働省の調査によると、警備員の平均年収は約300万円前後で、全産業の平均と比較すると低い水準にあります。日給制や時給制で働くことが多く、基本給が低めに設定されているケースがほとんどです。定期昇給や大幅なベースアップも期待しにくく、勤続年数が増えても給与が劇的に上がることは少ない傾向があります。副業との組み合わせや夜勤手当を活用した働き方が、収入面の課題を補う現実的な対策となります。
天候に左右される屋外勤務の辛さ
交通誘導警備や雑踏警備など、屋外で働く警備業務は天候の影響を大きく受けるというデメリットがあります。真夏の炎天下では気温が35度を超える中で何時間も立ち続け、熱中症のリスクと戦いながら業務を遂行しなければなりません。真冬の寒さも過酷で、氷点下の屋外で風雨にさらされながら交通誘導を行うのは想像以上に辛い体験です。防寒着やレインコート、冷却グッズなどで対策できますが、根本的な解決にはなりません。季節による肉体的・精神的な負担は避けられず、年齢を重ねると極端な気温への耐性が低下するため、長期的に続けるのが難しくなる警備員も少なくありません。
社会的評価や将来性への不安
警備員という職業に対する社会的評価の低さや、将来性への不安もデメリットの一つです。「誰でもできる仕事」というイメージを持たれがちで、専門性や社会的地位が高く評価されにくい傾向があります。警備員として長年働いてもスキルや経験が他の業界で評価されにくく、転職時に不利になる可能性があります。AI技術や無人警備システムの発展により、将来的に仕事の一部が自動化されるのではないかという不安も存在します。
不規則なシフトによる生活リズムの乱れ
警備員の仕事は24時間体制の現場も多く、シフトが不規則になりやすいというデメリットがあります。日勤・夜勤・明け番などのローテーション勤務では、生活リズムが乱れやすく、睡眠の質が低下しがちです。特に夜勤と日勤を繰り返すシフトでは、体内時計が狂いやすく、慢性的な睡眠不足や疲労感に悩まされる警備員も少なくありません。不規則な勤務時間は家族との時間を持ちにくくし、子どもの学校行事に参加できない、配偶者との生活時間帯がずれるといった問題も生じます。不規則な生活が原因で生活習慣病のリスクが高まるという研究結果もあり、長期的には健康管理に十分な注意が必要です。
警備業務の種類別メリット・デメリット比較
警備員の仕事は施設警備、交通誘導警備、輸送警備、雑踏警備などの種類があり、それぞれにメリット・デメリットが異なります。自分に合った警備業務を選ぶためには、各業務の特性を理解することが重要です。
施設警備のメリット・デメリット
施設警備は商業施設、オフィスビル、病院、工場などの建物内で警備を行う業務です。メリットは屋内勤務のため天候の影響を受けにくく、冷暖房が効いた環境で働けること、巡回業務もあるため完全な立ちっぱなしではなく身体を動かせる点が挙げられます。夜勤では仮眠時間が設けられている現場も多く、効率的に稼げます。デメリットは、監視カメラのモニター監視など単調な業務が続くと眠気との戦いになりやすいこと、緊急時には不審者対応や火災対応など高い判断力と行動力が求められる点があります。詳しくは「【関連記事】:施設警備の仕事内容と年収|未経験からの始め方」をご覧ください。
交通誘導警備のメリット・デメリット
交通誘導警備は工事現場や駐車場などで車両や歩行者の誘導を行う業務です。メリットは求人数が非常に多く、未経験者でも採用されやすいこと、日給制で働いた分だけ収入が得られるため、短期間で集中して稼ぐことが可能な点です。業務内容も比較的シンプルで、覚えることが少ないため初心者向きです。デメリットは、完全な屋外作業のため真夏の暑さや真冬の寒さに直接さらされること、排気ガスや粉塵の環境での健康への影響、長時間立ちっぱなしで誘導旗を振り続けることによる身体的負担が大きいことです。詳細は「【関連記事】:交通誘導警備の仕事|道路工事現場の1日と資格」で解説しています。
輸送警備・雑踏警備のメリット・デメリット
輸送警備は現金や貴重品を運搬する際の警備を行う業務で、高い専門性と責任が求められます。メリットは警備業務検定などの資格が必須のため給与水準が他の警備業務より高めに設定されていること、チームで行動するため一人で孤独に働く感覚が少ないことが挙げられます。雑踏警備はイベント会場やコンサート会場での群衆整理を行う業務で、変化に富んだ現場で働けることや、大きなイベントの安全を支えるやりがいが得られる点がメリットです。デメリットは、輸送警備では強盗などのリスクに常に備える必要があり精神的緊張が続くこと、早朝出勤や長時間労働が発生しやすいこと、雑踏警備では突発的なトラブルや緊急事態への対応能力が求められ、ストレスが高いことがあります。
各警備業務の向き不向き
警備業務の種類によって求められる適性は異なります。施設警備は一人で黙々と作業をこなすのが得意な人、細かい変化に気づける観察力のある人に向いています。交通誘導警備は体力に自信があり、屋外での作業が苦にならない人、単純作業を淡々とこなせる忍耐力のある人に適しています。輸送警備は責任感が強く、緊急時に冷静な判断ができる人、チームワークを重視できる人に向いています。雑踏警備は臨機応変な対応力があり、人混みの中でも適切な判断ができるコミュニケーション能力の高い人に適しています。
警備員に向いている人・向いていない人
警備員の仕事は誰にでもできる反面、性格や体質によって向き不向きがはっきり分かれる職種です。
警備員の仕事に向いている人の特徴
警備員に向いているのは、責任感が強く、与えられた持ち場をしっかり守れる人です。警備業務は施設や人々の安全を守る重要な役割を担っており、真面目にコツコツと業務を遂行できる性格が求められます。長時間の立ち仕事や不規則なシフトに耐えられる体力と健康状態も必須条件です。一人で働く時間が長いため、孤独に強く、自己管理ができる人も適性があります。細かい変化や異常に気づける観察力があり、緊急時には冷静に判断して行動できる人も警備員として高く評価されます。他人とのコミュニケーションが最小限で済む職場環境を好む人、副業やWワークで柔軟に働きたい人、年齢を重ねても長く働き続けたい人にとっては、警備員という仕事が理想的なキャリア選択となるでしょう。詳しくは「【関連記事】:警備員に向いている人・向いていない人|適性診断」をご参照ください。
警備員の仕事が合わない人の特徴
警備員の仕事が合わないのは、単調な業務に耐えられず、常に変化や刺激を求める人です。警備業務は基本的にルーティンワークが中心で、毎日同じような作業の繰り返しになることが多く、退屈に感じやすい人には向いていません。体力に自信がない人や、腰痛・膝痛などの持病がある人は、長時間の立ち仕事に耐えられず早期に退職してしまう可能性が高いでしょう。キャリアアップや高収入を強く望む人にとっても、給与水準が低く昇進の機会が限られる警備員の仕事は不満が溜まりやすくなります。チームで協力しながら働くことにやりがいを感じる人や、顧客と積極的にコミュニケーションを取りたい人も、孤独な作業が多い警備業務では物足りなさを感じるかもしれません。規則正しい生活リズムを重視する人や、家族との時間を大切にしたい人にとっては、不規則なシフトや夜勤が大きなストレスとなる可能性があります。
まとめ: 警備員のメリット・デメリットを理解して賢く働く
警備員の仕事には「未経験で始めやすい」「シフトの柔軟性」「年齢不問」「夜勤手当」「人間関係のストレスが少ない」という5つの主なメリットがある一方で、「身体的負担」「低賃金」「天候の影響」「社会的評価の低さ」「生活リズムの乱れ」という5つのデメリットも存在します。
これらを冷静に比較し、自分のライフスタイルやキャリアプランに照らし合わせて判断することが重要です。警備員として賢く働くためには、自分に合った警備業務の種類を選ぶことがポイントです。屋内勤務なら施設警備、体力に自信があれば交通誘導警備、高給を求めるなら資格が必要な輸送警備といったように、自分の強みに合った選択をしましょう。副業との組み合わせや夜勤シフトの活用など、働き方を工夫することで収入面のデメリットを補うことも可能です。
警備員の仕事は決して楽ではありませんが、真面目に取り組めば安定した収入源として機能し、年齢を重ねても働き続けられる貴重な職種です。この記事で紹介したメリット・デメリットを参考に、警備員としてのキャリアが自分に適しているかどうか、しっかりと見極めてください。転職検討中の方は「【関連記事】:未経験から警備員になる完全ガイド|採用条件・研修制度」も合わせてご確認いただくことをお勧めします。
警備職の基礎知識
仕事内容と勤務形態
- 施設警備の仕事内容と年収|未経験からの始め方
- 交通誘導警備の仕事|道路工事現場の 1 日と資格
- 身辺警護(ボディガード)の仕事|高年収 4 号警備
- 警備員の 1 日のスケジュール|施設警備と交通誘導を比較
- 警備員の勤務形態を解説| 24 時間交代制・夜勤の実態
給与・待遇
資格・スキル
- 警備業務検定とは| 6 種類の資格と取得方法を完全解説
- 施設警備 2 級資格の取得方法|未経験から合格する対策
- 交通誘導警備 2 級の資格|実技試験の内容と合格のコツ
- 警備員指導教育責任者になるには|必須資格を徹底解説
- 警備業務管理者の資格と役割|営業所責任者の条件
転職ガイド
- 未経験から警備員になる完全ガイド|採用条件・研修制度
- 警備員の志望動機の書き方|未経験者向け例文とポイント
- 警備員の面接対策|よく聞かれる質問と回答例を完全網羅
- 警備会社の選び方|大手と中小・ホワイト企業の見分け方
- 大手警備会社ランキング|売上高・年収・評判を徹底比較
キャリアパス
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