インフラエンジニアとネットワーク・サーバーエンジニアの違い|職種選択ガイド

IT業界でインフラ系の職種を目指す際、「インフラエンジニア」「ネットワークエンジニア」「サーバーエンジニア」という3つの職種名を目にすることがあるでしょう。これらは似ているようで実は専門分野や業務内容が大きく異なります。
この記事では、インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアの違いを、専門分野・業務内容・必要なスキル・キャリアパス・年収など、あらゆる角度から徹底比較します。未経験からIT業界を目指す方やキャリアチェンジを検討している方が、自分に最適な職種を選択できるよう、具体的な判断基準も解説します。
インフラエンジニア・ネットワークエンジニア・サーバーエンジニアの基本的な違い
インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアの最大の違いは、専門領域の範囲と深さにあります。インフラエンジニアはネットワークとサーバーの両方を含むITインフラ全般を扱う総合職であるのに対し、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアはそれぞれの領域に特化した専門職です。
– [各職種の専門分野と担当範囲](#各職種の専門分野と担当範囲) – [業務内容の比較一覧表](#業務内容の比較一覧表)
各職種の専門分野と担当範囲
インフラエンジニアは、ネットワーク、サーバー、クラウド、セキュリティなど、ITインフラ全体を統合的に管理する役割を担います。システム全体の設計から構築、運用まで幅広く関わり、各専門領域を横断的に理解している必要があります。企業によっては、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアを統括するポジションとして位置づけられることもあります。
ネットワークエンジニアは、LAN・WANなどのネットワーク通信に特化した専門家です。ルーターやスイッチの設定、通信プロトコルの最適化、ネットワークセキュリティの実装など、データの通信経路に関するすべてを担当します。Cisco機器やネットワーク設計の深い知識が求められ、通信速度や安定性の向上に責任を持ちます。
サーバーエンジニアは、物理サーバーや仮想サーバーの構築・運用に特化した専門家です。LinuxやWindowsなどのOS管理、仮想化技術の実装、サーバーのパフォーマンス監視、バックアップ設計など、サーバー環境の安定稼働に必要なすべての業務を担当します。近年ではクラウド環境への移行支援も重要な役割となっています。
業務内容の比較一覧表
3つの職種の業務内容を、設計・構築・運用保守の各フェーズで比較すると、以下のようになります。
フェーズ インフラエンジニア ネットワークエンジニア サーバーエンジニア 設計 システム全体のインフラ設計、構成図作成、技術選定 ネットワーク構成設計、回線選定、セキュリティ設計 サーバー構成設計、容量計画、冗長化設計 構築 ネットワーク・サーバー統合構築、クラウド環境構築 ルーター・スイッチ設定、VLAN構築、VPN設定 サーバーインストール、OS設定、ミドルウェア構築 運用保守 インフラ全体の監視、障害対応、性能改善 ネットワーク監視、通信トラブル対応、帯域管理 サーバー監視、リソース管理、パッチ適用
インフラエンジニアは全体を俯瞰して統合的に管理するのに対し、ネットワークエンジニアとサーバーエンジニアはそれぞれの領域で専門性を発揮します。プロジェクトの規模や企業の体制によって、これらの役割分担は柔軟に変化することもあります。
インフラエンジニアの特徴と役割
インフラエンジニアは、ITインフラ全般を統括する総合職として、幅広い技術領域を担当します。ネットワークとサーバーの両方を理解し、システム全体を最適化する視点が求められます。
– [担当する業務範囲](#担当する業務範囲) – [求められるスキルセット](#求められるスキルセット)
担当する業務範囲
インフラエンジニアの業務範囲は、ネットワーク、サーバー、ストレージ、クラウド、セキュリティなど多岐にわたります。インフラのライフサイクル全体に関わり、システムの要件定義から設計、構築、運用、改善までを担当します。
具体的には、オンプレミス環境とクラウド環境のハイブリッド構成の設計、AWS・Azure・GCPなどのクラウドサービスの選定と導入、ネットワークとサーバーを統合したシステム構築、インフラ全体のセキュリティ設計、パフォーマンス監視と最適化、障害時の原因切り分けと復旧対応などを担当します。
大規模プロジェクトでは、ネットワークエンジニアやサーバーエンジニアと協働しながらプロジェクト全体を推進する役割を果たし、技術的な判断やリスク管理にも責任を持ちます。詳しくは「【関連記事】:インフラエンジニアの仕事内容を徹底解説|4つの工程と役割を完全ガイド」を参照してください。
求められるスキルセット
インフラエンジニアには、広範な技術知識と統合的な設計力が求められます。ネットワークとサーバーの両方に関する基礎知識は必須で、さらにクラウド技術、仮想化技術、セキュリティ、自動化ツールなど、多様な技術領域への理解が必要です。
技術スキルとしては、TCP/IPなどのネットワークプロトコル、Linux・Windowsの基本操作、AWS・Azure・GCPなどのクラウドサービス、Docker・Kubernetesなどのコンテナ技術、Ansible・Terraformなどの自動化ツール、セキュリティの基礎知識が挙げられます。
加えて、システム全体を俯瞰する設計力、プロジェクト管理能力、複数の技術領域を統合して最適解を導き出す問題解決力、エンジニア間の調整やコミュニケーション能力も重要です。資格としては、AWS認定ソリューションアーキテクト、LinuC、CCNAなどが評価されます。詳しくは「【関連記事】:インフラエンジニアにAWSスキルが必要な理由|クラウド時代の必須スキルと資格」を参照してください。
ネットワークエンジニアの特徴と役割
ネットワークエンジニアは、データ通信のインフラを専門に扱うスペシャリストです。ネットワーク設計から構築、運用までを一貫して担当し、通信の安定性と速度を保証する役割を担います。
– [担当する業務範囲](#担当する業務範囲-1) – [求められるスキルセット](#求められるスキルセット-1)
担当する業務範囲
ネットワークエンジニアは、企業内LANから広域ネットワーク(WAN)、インターネット接続、VPN構築まで、ネットワーク通信に関するすべての業務を担当します。ルーターやスイッチなどのネットワーク機器の選定、設定、管理が主な業務です。
具体的には、ネットワーク設計と構成図作成、Cisco・Juniper・Yamahaなどのルーター・スイッチの設定、VLAN設計とネットワークセグメント分割、ファイアウォール設定とセキュリティポリシー実装、VPN構築による拠点間接続、ネットワーク監視と帯域管理、通信障害発生時のトラブルシューティングなどを行います。
近年では、SDN(Software-Defined Networking)やクラウドネットワークの設計など、従来の物理ネットワークに加えて仮想ネットワークの知識も求められるようになっています。
求められるスキルセット
ネットワークエンジニアには、通信プロトコルやネットワーク機器に関する深い専門知識が必要です。TCP/IP、ルーティングプロトコル(OSPF、BGP)、スイッチング技術、ネットワークセキュリティの技術を深く理解していることが求められます。
技術スキルとしては、Cisco機器の設定と管理、ネットワークプロトコル(TCP/IP、HTTP、DNS)の深い理解、ルーティング・スイッチング技術、ファイアウォール・VPNの設計と構築、ネットワーク監視ツール(Zabbix、Nagiosなど)の活用、無線LAN設計と構築が挙げられます。
資格としては、CCNA(Cisco Certified Network Associate)、CCNP(Cisco Certified Network Professional)、ネットワークスペシャリスト試験などが高く評価され、特にCiscoの資格はネットワークエンジニアのキャリアにおいて重要視されています。論理的思考力と、障害発生時に冷静に原因を切り分ける分析力も必須です。詳しくは「【関連記事】:インフラエンジニアに必要な資格11選|未経験からの取得順序を完全ガイド」を参照してください。
サーバーエンジニアの特徴と役割
サーバーエンジニアは、システムの基盤となるサーバー環境の構築と運用を専門とするエンジニアです。物理サーバーから仮想サーバー、クラウド環境まで、サーバーに関するあらゆる業務を担当します。
– [担当する業務範囲](#担当する業務範囲-2) – [求められるスキルセット](#求められるスキルセット-2)
担当する業務範囲
サーバーエンジニアは、サーバーの選定、構築、OS設定、ミドルウェアのインストール、パフォーマンス監視、セキュリティ管理まで、サーバー環境の構築と運用に関するすべてを担当します。Webサーバー、データベースサーバー、メールサーバーなど、用途に応じた最適な環境を構築します。
具体的には、物理サーバーまたはクラウドサーバーの構築、Linux・Windows ServerなどのサーバーOS設定、Apache・Nginx・Tomcatなどのミドルウェア構築、VMware・Hyper-Vなどの仮想化環境構築、サーバーのリソース監視と容量管理、定期的なパッチ適用とセキュリティ更新、バックアップ設計と災害対策(DR)、障害発生時の復旧作業などを行います。
近年では、オンプレミスからクラウドへの移行支援や、Infrastructure as Code(IaC)による自動化の実装も重要な業務となっています。
求められるスキルセット
サーバーエンジニアには、サーバーOSとミドルウェアに関する深い知識が必要です。LinuxとWindows Serverの両方を扱えることが望ましく、シェルスクリプトやPythonなどによる自動化スキルも重要です。
技術スキルとしては、Linux(CentOS、Ubuntu、Red Hat)の構築と運用、Windows Serverの構築と管理、Apache・Nginx・IISなどのWebサーバー構築、MySQL・PostgreSQL・SQL ServerなどのDB管理、VMware・Hyper-Vなどの仮想化技術、Docker・Kubernetesなどのコンテナ技術、Ansible・Chefなどの構成管理ツールが挙げられます。
資格としては、LinuC(Linux技術者認定)、LPIC(Linux Professional Institute Certification)、Red Hat認定エンジニア(RHCE)、Microsoft認定資格(Azure Administrator、Windows Server)などが評価されます。障害対応時の迅速な判断力と、システムの安定稼働を維持するための予防保全の意識も重要です。詳しくは「【関連記事】:インフラエンジニアに必要なスキルセット完全ガイド|技術からソフトスキルまで」を参照してください。
職種別のキャリアパスと年収比較
インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアでは、キャリアの進み方と年収水準に違いがあります。自分の目指すキャリアに合わせて職種を選択することが重要です。
– [それぞれのキャリアパス](#それぞれのキャリアパス) – [年収水準と市場価値](#年収水準と市場価値)
それぞれのキャリアパス
インフラエンジニアは、幅広い技術領域を経験できるため、ITアーキテクトやプロジェクトマネージャー、CTOなどの上流工程や経営層へのキャリアパスが開かれています。技術の総合力を活かして、システム全体の設計や技術戦略の立案に携わることができます。また、クラウドアーキテクトやセキュリティエンジニアなど、特定領域のスペシャリストへの転身も可能です。
ネットワークエンジニアは、ネットワーク設計のスペシャリストとして専門性を深めるキャリアが一般的です。CCNA→CCNP→CCIEと資格を取得しながらキャリアアップし、ネットワークアーキテクトやセキュリティスペシャリストを目指します。大規模ネットワークの設計やSDN・クラウドネットワークの専門家として市場価値を高めることができます。
サーバーエンジニアは、クラウドエンジニアやDevOpsエンジニアへのキャリアチェンジが増えています。オンプレミスのサーバー運用経験を活かしてAWS・Azure・GCPのクラウド環境に移行し、Infrastructure as Code(IaC)や自動化を推進する役割へと進化していきます。SREエンジニアとしてサービスの信頼性向上に特化する道もあります。詳しくは「【関連記事】:インフラエンジニアのキャリアパス完全ガイド|運用から設計・クラウド・SREへの道筋」と「【関連記事】:インフラエンジニアとSRE・DevOpsエンジニアの違い|次世代キャリアへの進化方法」を参照してください。
年収水準と市場価値
インフラエンジニアの平均年収は500万円〜700万円程度で、クラウドスキルや上流工程の経験があれば800万円以上も可能です。特にAWS・Azure・GCPなどのクラウド設計スキルを持つインフラエンジニアの需要は高く、フリーランスとして独立すれば年収1,000万円以上も目指せます。
ネットワークエンジニアの平均年収は450万円〜650万円程度で、CCNPやCCIEなどの上位資格を持つエンジニアは700万円〜900万円の高収入が期待できます。大規模ネットワークの設計経験やセキュリティの専門知識があれば、さらに市場価値は高まります。金融機関や大手通信企業では特に高待遇が期待できます。
サーバーエンジニアの平均年収は450万円〜600万円程度ですが、クラウド移行スキルや自動化スキルを持つエンジニアは650万円〜800万円が相場です。DevOps・SREエンジニアとしてのスキルを身につければ、年収800万円以上も現実的です。詳しくは「【関連記事】:インフラエンジニアの年収を徹底分析|20代から年収1000万円を目指す方法」を参照してください。
自分に合った職種の選び方
インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアの中から自分に最適な職種を選ぶには、スキル、興味、キャリア目標を明確にすることが重要です。
– [スキルと興味から判断する](#スキルと興味から判断する) – [キャリア目標から逆算する](#キャリア目標から逆算する) – [未経験からのおすすめ学習順序](#未経験からのおすすめ学習順序)
スキルと興味から判断する
幅広い技術に興味があり、システム全体を俯瞰したい人はインフラエンジニアが向いています。ネットワークとサーバーの両方を学びたい、クラウド技術に興味がある、将来的にITアーキテクトを目指したい人に最適です。技術の総合力を武器にしたい人におすすめです。
通信技術や通信プロトコルに強い興味がある人は、ネットワークエンジニアが適しています。Ciscoなどのネットワーク機器に触れることが好き、通信の仕組みを深く理解したい、ネットワーク設計のスペシャリストを目指したい人に向いています。論理的思考力と問題解決能力を活かせる職種です。
サーバーOSやミドルウェアの構築に興味がある人は、サーバーエンジニアがおすすめです。LinuxやWindowsの設定が好き、仮想化やコンテナ技術を学びたい、クラウド環境への移行に携わりたい人に最適です。自動化や効率化に関心がある人にも向いています。
キャリア目標から逆算する
将来的にITアーキテクトやプロジェクトマネージャーを目指すなら、インフラエンジニアとしてスタートし、幅広い技術領域を経験することが有利です。技術の総合力を活かして上流工程に進みたい人に最適です。
ネットワーク設計の専門家として市場価値を高めたいなら、ネットワークエンジニアとして専門性を深めることが効果的です。CCNA→CCNP→CCIEと資格を取得しながらキャリアアップし、ネットワークアーキテクトやセキュリティスペシャリストを目指せます。
クラウドエンジニアやDevOpsエンジニアへのキャリアチェンジを考えているなら、サーバーエンジニアとしてスタートし、クラウド移行や自動化のスキルを身につけることが近道です。SREエンジニアとしてサービスの信頼性向上に特化する道も開かれています。詳しくは「【関連記事】:未経験からインフラエンジニアへの転職完全ロードマップ|成功率を高める5ステップ」を参照してください。
未経験からのおすすめ学習順序
未経験からインフラエンジニアを目指す場合は、LinuxとAWSの基礎を学ぶことから始めましょう。LinuC Level1またはLPIC-1を取得し、AWS認定クラウドプラクティショナーを取得後、ネットワークの基礎(CCNA)を学ぶ順序が効率的です。
ネットワークエンジニアを目指すなら、CCNAの取得を最優先にしましょう。TCP/IPとネットワークプロトコルの基礎を学び、Ciscoルーター・スイッチの実機またはシミュレーターで実践的なスキルを身につけます。CCNAを取得後、実務経験を積みながらCCNPを目指します。
サーバーエンジニアを目指す場合は、Linuxの基礎から始め、LinuCまたはLPICを取得します。その後、WebサーバーやDBサーバーの構築、仮想化技術(VMware、Docker)を学び、クラウド(AWSやAzure)の基礎を習得していく順序が実践的です。詳しくは「【関連記事】:インフラエンジニアの勉強方法完全ガイド|挫折しない独学ロードマップと学習順序」を参照してください。
まとめ:職種の違いを理解してキャリアを選択しよう
インフラエンジニア、ネットワークエンジニア、サーバーエンジニアは、それぞれ異なる専門性と役割を持つ職種です。インフラエンジニアはITインフラ全般を扱う総合職、ネットワークエンジニアは通信に特化した専門職、サーバーエンジニアはサーバー環境に特化した専門職として、それぞれ異なるキャリアパスと市場価値を持ちます。
自分に最適な職種を選ぶには、技術的な興味と適性、将来のキャリア目標、学びたいスキル領域を明確にすることが重要です。幅広く学びたい人はインフラエンジニア、通信技術を極めたい人はネットワークエンジニア、サーバー技術とクラウドに興味がある人はサーバーエンジニアを選択すると良いでしょう。
未経験からスタートする場合は、まず基礎資格(LinuC、CCNA、AWS認定など)の取得を目指し、実務経験を積みながら専門性を高めていくことが成功への近道です。どの職種を選んでも、クラウド技術と自動化スキルの習得が今後のキャリアを大きく左右します。
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