不動産営業の仕事内容とは|販売・賃貸・売買仲介の違いと1日の流れ

不動産営業への転職を検討しているものの、「具体的にどんな仕事をするのか」「販売と賃貸では何が違うのか」と疑問を持っていませんか。不動産営業と一言で言っても、実は複数の職種があり、それぞれ業務内容や難易度が異なります。
この記事では、不動産営業の主要3職種(販売営業・賃貸仲介・売買仲介)の仕事内容を詳しく解説します。各職種の1日の流れや向き不向きも紹介しますので、自分に合った職種を見つける参考にしてください。
不動産営業の仕事内容|3つの主要職種
不動産営業には「販売営業」「賃貸仲介営業」「売買仲介営業」の3つの職種があります。それぞれ取り扱う物件や顧客層、営業スタイルが異なります。
すべての職種が不動産という高額商品を扱いますが、新築物件を販売するのか、賃貸物件を仲介するのか、中古物件の売買を仲介するのかで、求められるスキルや働き方は大きく異なります。各職種の詳細な比較については、【関連記事】:賃貸仲介と売買仲介の違いを徹底比較を参考にしてください。
販売営業(新築マンション・戸建て)
販売営業は、デベロッパーが開発した新築マンションや戸建て住宅を販売する仕事です。数千万円から億単位の高額物件を扱うため、長期的な信頼関係の構築が重要になります。
主な業務は、チラシやWeb広告で集客し、モデルルームでの接客を通じて物件の魅力を伝え、契約まで導くことです。住宅ローンの手続きサポートや引き渡しまでのフォローも担当します。1件の成約まで数ヶ月かかることが珍しくない点が、他の職種との大きな違いです。
賃貸仲介営業
賃貸仲介営業は、賃貸物件を探している顧客に対して、条件に合う物件を紹介し、契約までサポートする仕事です。3つの職種の中で最も成約スピードが速く、即日契約に至ることもあります。
来店した顧客のニーズをヒアリングし、物件データベースから最適な物件を提案します。内見の案内、審査手続き、契約書の作成、鍵の引き渡しまでを一貫して担当します。繁忙期(1〜3月)は非常に忙しくなりますが、未経験からでもチャレンジしやすい職種です。
売買仲介営業(中古物件)
売買仲介営業は、中古の戸建てやマンションを売りたい人と買いたい人をマッチングする仕事です。売主側の営業と買主側の営業の両方を担当する場合が多く、高度な交渉力が求められます。
物件の査定から始まり、売却提案、買主の開拓、物件案内、価格交渉、契約締結、決済立会いまで、幅広い業務を担当します。宅地建物取引士の資格があると有利で、専門知識を活かせる職種です。
販売営業の具体的な仕事内容
新築マンションや戸建ての販売営業は、顧客との長期的な信頼関係が成功の鍵となります。ここでは、販売営業の業務を工程ごとに詳しく見ていきましょう。
見込み客の獲得
販売営業の最初の仕事は、物件に興味を持ってくれる見込み客を集めることです。折込チラシの作成・配布、Web広告の出稿、住宅情報サイトへの物件掲載など、さまざまな手法を組み合わせて集客活動を行います。
モデルルームのイベント企画や見学会の準備も重要な業務です。集客数が売上に直結するため、どの時間帯にどのエリアでチラシを配るか、どんな広告文が効果的かなど、常に工夫を凝らす必要があります。
モデルルーム・物件案内
モデルルームに来場した顧客への接客が、販売営業の中心的な業務です。顧客の家族構成や予算、希望条件をヒアリングし、物件の魅力を最大限に伝えます。間取りの説明だけでなく、周辺環境や資産価値、住宅ローンのシミュレーションまで提案します。
高額商品だからこそ、顧客は何度もモデルルームを訪れ、じっくり検討します。毎回丁寧に対応し、信頼関係を深めることが重要です。自社物件の優位性を論理的に説明するプレゼンテーション力が求められます。
契約・手続き業務
購入の意思が固まったら、契約手続きに入ります。重要事項説明書や売買契約書の作成、住宅ローンの申し込みサポート、火災保険の提案など、契約に関わる多くの書類を扱います。
契約後も仕事は続きます。住宅ローンの本審査、内装オプションの打ち合わせ、引き渡し日の調整など、細かなフォローが必要です。顧客の不安を取り除き、スムーズに引き渡しまで進められるよう丁寧にサポートします。
アフターフォロー
引き渡し後も、入居に関する問い合わせ対応や定期点検の案内など、アフターフォローを行います。良好な関係を維持することで、顧客からの紹介営業につながることが多くあります。販売営業の成約の一定割合は既存顧客からの紹介によるものです。販売営業の1日の業務スケジュールについて、より詳しく知りたい場合は【関連記事】:不動産営業の1日の流れをご覧ください。
賃貸仲介営業の具体的な仕事内容
賃貸仲介営業は、3つの職種の中で最もスピード感のある仕事です。来店からわずか数時間で契約に至ることもあり、テンポよく顧客対応できる力が求められます。
来店対応・ヒアリング
賃貸仲介営業の仕事は、店舗に来店した顧客への対応から始まります。顧客の希望条件を詳しくヒアリングします。予算、希望エリア、間取り、駅からの距離、設備条件など、優先順位を整理しながら聞き取ります。
初めての一人暮らしや転勤など、顧客の背景によってニーズは大きく異なります。学生なら学校へのアクセス、ファミリーなら周辺の教育環境など、状況に応じた提案ができるよう、丁寧にヒアリングすることが重要です。
物件紹介・内見案内
ヒアリング内容をもとに、物件データベースから条件に合う物件を検索し、複数の候補を提案します。家賃や立地だけでなく、日当たりや周辺環境、設備の特徴など、物件ごとの強みを分かりやすく説明します。
顧客が興味を持った物件については、実際に内見の案内を行います。物件の鍵を預かり、現地まで同行して部屋を案内します。効率的なルート設定や時間管理が求められます。
契約手続き・入居サポート
気に入った物件が見つかったら、入居申し込みから契約手続きに進みます。入居審査の手配、契約書類の作成、重要事項説明、初期費用の計算など、契約に関わる一連の業務を担当します。
審査が通れば契約締結となり、鍵の引き渡しまでをサポートします。スムーズに入居できるよう、細かな手続きを漏れなく案内することが、顧客満足度を高めるポイントです。賃貸営業の成約スピードと業務内容について、さらに詳しく知りたい方は【関連記事】:不動産営業の1日の流れで賃貸営業の1日をご覧ください。
売買仲介営業の具体的な仕事内容
売買仲介営業は、中古物件を売りたい人と買いたい人をつなぐ仕事です。3つの職種の中で最も専門性が高く、宅地建物取引士の資格や豊富な知識が求められます。
売却物件の獲得
売買仲介営業の最初の仕事は、売却を検討している物件オーナーを見つけることです。チラシのポスティング、電話営業、Web広告などで売却希望者にアプローチします。問い合わせがあれば、物件を訪問して査定を行います。
査定では、周辺の取引事例や市場動向をもとに適正な売却価格を算出し、売主に提案します。売却のメリットやスケジュール、販売戦略を説明し、媒介契約を締結します。売主の信頼を得るためには、正確な査定と説得力のある提案が不可欠です。
買主の獲得と物件紹介
売却物件を預かったら、次は買主を探します。自社のWebサイトや不動産ポータルサイトに物件情報を掲載し、購入希望者を集めます。すでに顧客リストに登録されている購入希望者に対して、条件に合う物件を積極的に提案します。
購入希望者が現れたら、物件の内見を案内します。中古物件は新築と異なり、設備の状態や経年劣化の程度など、細かな説明が求められます。物件の長所を伝えつつ、短所も正直に説明することで、後のトラブルを防ぎます。
契約交渉・条件調整
買主が購入の意思を示したら、売主との条件交渉に入ります。価格交渉はもちろん、引き渡し時期、設備の取り扱いなど、細かな条件をすり合わせます。売主と買主の双方が納得できる着地点を見つけるのが、売買仲介営業の腕の見せ所です。
条件が合意に至ったら、売買契約を締結します。重要事項説明書の作成と説明、売買契約書の作成、手付金の受け渡しなど、法的に重要な手続きを正確に進めます。
決済・引き渡しサポート
契約後は、買主の住宅ローン手続きをサポートします。金融機関との調整、必要書類の準備、本審査の進捗管理など、スムーズに融資が実行されるよう細かくフォローします。
決済日には、金融機関や司法書士と共に立ち会い、残金の決済、所有権移転登記、鍵の引き渡しを確認します。数千万円が動く取引の最終局面を見届ける責任は重大ですが、無事に完了したときの達成感は格別です。売買仲介営業の専門知識として必要な【関連記事】:不動産営業に資格は必要?宅建士の重要性と取得メリットも参考になります。
不動産営業の1日の流れ
不動産営業の働き方は職種によって大きく異なります。ここでは、それぞれの職種の典型的な1日のスケジュールを紹介します。
販売営業の1日
9:00 出社・朝礼 チームでの情報共有、本日の来場予定の確認、販売状況の報告を行います。
10:00 モデルルーム準備・事務作業 モデルルームの清掃、資料の準備、来場予定の顧客情報の確認を行います。
13:00 来場対応・接客 予約来場者や飛び込み来場者への対応を行います。物件案内、ヒアリング、資金計画の提案などを1組あたり1〜2時間かけて行います。
18:00 商談報告・事務作業 本日の商談内容を上司に報告し、顧客データベースに記録します。
20:00 退社 繁忙期や大型連休前は、残業が増えることもあります。
賃貸仲介営業の1日
9:30 出社・開店準備 店舗の清掃、物件情報の更新、予約顧客の確認を行います。
10:00 店番・来店対応 飛び込みで来店する顧客への対応が中心です。ヒアリング、物件検索、提案を行い、気に入った物件があればそのまま内見に出かけます。
14:00 内見案内 1日に2〜3組の内見案内を行うこともあります。物件の鍵を借りて現地で待ち合わせ、部屋を案内します。
17:00 契約手続き・事務作業 申込書の作成、入居審査の手配、契約書の準備などを行います。
19:00 退社 繁忙期(1〜3月)は22時頃まで残業することもありますが、閑散期は定時で帰れることも多い職種です。
売買仲介営業の1日
9:00 出社・朝礼 営業チームでの進捗共有、本日の訪問予定の確認を行います。
10:00 物件査定・売主訪問 売却希望者の自宅を訪問し、物件の査定を行います。周辺環境や建物の状態を確認し、適正価格を算出します。
13:00 物件案内(買主対応) 購入希望者に対して、条件に合う中古物件の内見案内を行います。
15:00 事務作業・契約準備 重要事項説明書や売買契約書の作成、住宅ローンの手続きサポートなどを行います。
17:00 売主・買主との条件交渉 価格や引き渡し条件について、売主と買主の間に立って調整します。
19:00 営業報告・翌日準備 上司への進捗報告、顧客データベースの更新、翌日の訪問先の確認などを行います。
20:00 退社 案件の進捗状況によっては、夜間に顧客と打ち合わせをすることもあります。
職種別の難易度と向き不向き
不動産営業の3つの職種は、それぞれ求められるスキルや性格が異なります。自分の強みや志向性に合った職種を選ぶことで、長く活躍できる可能性が高まります。
販売営業に向いている人
販売営業に向いているのは、じっくり顧客と関係を築くことが得意な人です。高額商品を扱うため、1件の成約まで数ヶ月かかることも珍しくありません。短期的な成果を求めず、長期的な視点で顧客と向き合える忍耐強さが重要です。
また、提案力とプレゼンテーション能力も求められます。論理的に説明し、顧客の不安を解消できるコミュニケーション力がある人に適しています。週末のモデルルーム勤務が中心となるため、土日休みにこだわらない人に向いています。
賃貸仲介に向いている人
賃貸仲介に向いているのは、スピード感を持って効率的に仕事を進められる人です。来店から契約まで数時間で完結することもあり、テンポよく顧客対応できる瞬発力が求められます。1日に複数組の対応をこなすため、マルチタスク能力も重要です。
未経験からでもチャレンジしやすいのが賃貸仲介の特徴です。物件知識は働きながら身につけられますし、初期のハードルが比較的低いため、不動産業界への入り口として最適です。人と話すのが好きで、コミュニケーション能力に自信がある人なら、早期に活躍できるでしょう。
売買仲介に向いている人
売買仲介に向いているのは、交渉力と調整力がある人です。売主と買主の双方が納得できる条件を引き出すには、両者の立場を理解し、利益のバランスを取る高度な交渉スキルが必要です。論理的思考力があり、冷静に状況を分析できる人に適しています。
また、専門知識を学ぶ意欲がある人にもおすすめです。宅地建物取引士の資格取得を目指す姿勢や、不動産関連法規、税制、住宅ローンなど幅広い知識を習得する意欲が求められます。キャリアアップを目指す人には魅力的な職種です。
まとめ: 自分に合った不動産営業の職種を見つけよう
不動産営業の仕事内容は、職種によって大きく異なります。販売営業は高額な新築物件を扱い長期的な関係構築が重要、賃貸仲介はスピード重視で未経験からチャレンジしやすい、売買仲介は専門知識を活かした交渉力が求められるという特徴があります。
それぞれの職種には異なる魅力と難易度があるため、自分の性格やスキル、キャリアビジョンに合った職種を選ぶことが重要です。この記事で紹介したスケジュールを参考に、自分に合った働き方をイメージしてみてください。
不動産営業は、未経験からでも高収入を目指せる魅力的な職種です。自分の適性を見極め、興味のある職種にチャレンジしてみましょう。自身の適性についてさらに詳しく知りたい場合は、【関連記事】:不動産営業に向いている人の8つの特徴を参考にしてください。また、【関連記事】:未経験から不動産営業に転職する完全ガイドでは、転職を検討している方向けの情報を提供しています。
🚀 未経験転職
📋 仕事内容・業務理解
💰 年収・待遇
📊 仕事の実態・課題
- 不動産営業はきつい?厳しさの実態と乗り越え方を経験者が語る
- 不動産営業のノルマは厳しい?平均的な目標数値と達成のコツを解説
- 不動産営業のやりがいとは|経験者が語る仕事の魅力と達成感
- 不動産営業を辞めたい理由トップ5と続けるための対処法を解説
✅ 適性・自己判断
📚 資格・スキル
📝 転職活動準備
- 不動産営業の志望動機の書き方|未経験者向け例文とNG例を徹底解説
- 不動産営業の面接で聞かれる質問と自己PRのコツ|例文付き完全ガイド
- 不動産営業のブラック企業の見分け方|ホワイト企業を選ぶ7つのポイント
👥 特定層向け情報
関連記事

不動産営業 完全ガイド|未経験からの転職・仕事内容・年収・キャリアパスのすべて
不動産営業の仕事内容、年収相場、必要な資格、向いてる人の特徴、転職方法を徹底解説。未経験から不動産営業に挑戦したい方に、きついと言われる実態、やりがい、成功のコツまで、転職に必要な情報を網羅した完全ガイドです。

女性が不動産営業で活躍できる理由|働きやすさとキャリアアップのポイント
女性が不動産営業で活躍できる理由を徹底解説。女性ならではのコミュニケーション力や細やかな配慮などの強み、産休・育休制度の実態、ワークライフバランスの実現方法、働きやすい企業の見極め方、キャリアアップのポイントまで、成功事例とともに詳しく紹介...

不動産営業を辞めたい理由トップ5と続けるための対処法を解説
不動産営業を辞めたいと思う主な理由5つと、それぞれに対する具体的な対処法を徹底解説。ノルマ・長時間労働・収入不安・人間関係・顧客対応のストレス対策から、転職を決断すべきタイミング、次のキャリア選択肢まで、現役営業職の悩みに実践的に答えます。
