インフラエンジニアにプログラミングスキルは必要?|Python・Bashなど推奨言語を解説

インフラエンジニアにプログラミングスキルは必要か?【結論】
結論から言えば、現代のインフラエンジニアにとってプログラミングスキルは「あれば便利」という段階を超え、実務で必須のスキルとなりつつあります。
かつてのインフラエンジニアは、サーバーの設定ファイルを手動で編集し、コマンドラインから一台ずつ操作する業務が中心でした。しかし、クラウドサービスの普及とインフラのコード化(IaC)が進んだ現在、数百台、数千台規模のサーバーを効率的に管理するには、プログラミングによる自動化が不可欠です。PythonやBashといったプログラミング言語を活用することで、繰り返し作業の自動化、監視システムの構築、クラウドリソースの管理といった業務を、圧倒的に効率化できます。
実際、求人市場を見ても、インフラエンジニアの募集要項にPythonやシェルスクリプトの経験が明記されるケースが増えています。プログラミングスキルを持つインフラエンジニアは、DevOpsエンジニアやSREといったより高度な職種へのキャリアパスも開けるため、市場価値の向上にも直結します。
本記事では、インフラエンジニアにプログラミングスキルが求められる具体的な理由、習得すべき推奨言語、実務での活用場面、そして効果的な学習方法まで、実践的に解説していきます。
インフラエンジニアにプログラミングスキルが求められる理由
インフラエンジニアの業務環境は、この10年で劇的に変化しました。手動での設定作業が中心だった時代から、自動化とコード化が標準となる時代へと移行しています。ここでは、プログラミングスキルが求められる背景となる3つの重要な理由を解説します。
– [手動作業からの脱却と業務効率化](#手動作業からの脱却と業務効率化) – [IaC(Infrastructure as Code)の普及](#iacinfrastructure-as-codeの普及) – [クラウド時代のインフラ管理](#クラウド時代のインフラ管理)
手動作業からの脱却と業務効率化
インフラエンジニアの日常業務には、サーバーの設定変更、ユーザーアカウントの作成、ログファイルの確認といった繰り返し作業が数多く存在します。これらを手動で行うと、時間がかかるだけでなく、人為的なミスのリスクも高まります。
プログラミングスキルがあれば、こうした定型作業をスクリプト化して自動化できます。例えば、毎日実施するログチェックをPythonスクリプトで自動化すれば、異常なパターンを検出して通知する仕組みを構築でき、手動確認にかかっていた時間を大幅に削減できます。また、複数サーバーへの同一設定の適用も、Bashスクリプトを使えば一括処理が可能です。自動化により作業時間が短縮されるだけでなく、ヒューマンエラーの防止と作業品質の均一化も実現します。
IaC(Infrastructure as Code)の普及
Infrastructure as Code(IaC)とは、インフラの構成や設定をコードとして記述し、管理する手法です。TerraformやAnsible、AWS CloudFormationといったIaCツールは、もはや現代のインフラ運用において標準的な技術となっています。
IaCの最大のメリットは、インフラ構成の再現性とバージョン管理です。サーバーの構成をコードで定義しておけば、開発環境・検証環境・本番環境を全く同じ設定で構築できます。また、Gitでコードを管理することで、いつ誰がどのような変更を加えたかの履歴が残り、問題が発生した際のロールバックも容易です。これらのIaCツールを使いこなすには、基本的なプログラミングの概念(変数、条件分岐、ループ処理など)の理解が必須です。特にTerraformではHCL言語、AnsibleではYAML形式での記述が求められ、プログラミング的思考が不可欠となります。
「【関連記事】:インフラエンジニアに必要なスキルセット完全ガイド|技術からソフトスキルまで」
クラウド時代のインフラ管理
AWS、Azure、Google Cloud Platformといったクラウドサービスの普及により、インフラエンジニアの業務内容は大きく変化しました。物理サーバーのラッキング作業から、API経由でのクラウドリソース管理へと主戦場が移っています。
クラウド環境では、サーバーやストレージ、ネットワークといったリソースを、すべてAPIを通じてプログラム的に操作できます。例えば、アクセス数の増加に応じてサーバー台数を自動的にスケールアウトする仕組みや、夜間のバッチ処理のために一時的にインスタンスを起動して処理後に削除する運用は、プログラミングなしには実現困難です。PythonのBoto3ライブラリを使えばAWSリソースを、Azure SDKを使えばAzureリソースを、コードから自在に操作できます。クラウドネイティブな時代において、プログラミングスキルはインフラエンジニアにとって必須の武器となっているのです。
「【関連記事】:インフラエンジニアにAWSスキルが必要な理由|クラウド時代の必須スキルと資格」
インフラエンジニアにおすすめのプログラミング言語
インフラエンジニアがプログラミングを学ぶ際、どの言語から始めるべきか迷う方も多いでしょう。ここでは、インフラ業務で実際に活用される頻度の高い言語を、優先度順に紹介します。各言語の特徴と具体的な用途を理解することで、自分の業務や目指すキャリアに合った学習計画を立てられます。
– [Python|最も汎用性が高い言語](#python最も汎用性が高い言語) – [Bash/Shell|Linux環境での必須スキル](#bashshelllinux環境での必須スキル) – [Ruby|インフラ自動化ツールで活用](#rubyインフラ自動化ツールで活用) – [Go|クラウドネイティブ時代の選択肢](#goクラウドネイティブ時代の選択肢)
Python|最も汎用性が高い言語
Pythonは、インフラエンジニアが最初に学ぶべきプログラミング言語として最有力の選択肢です。コードの可読性が高く、初心者でも理解しやすい文法でありながら、高度な処理も実現できる汎用性を持っています。
インフラ分野では、サーバー管理、ネットワーク自動化、クラウドAPI操作、データ分析など、あらゆる場面でPythonが活用されています。豊富なライブラリエコシステムも大きな強みで、AWS操作用のBoto3、サーバー管理用のFabric、ネットワーク自動化用のNetmikoなど、インフラ業務に特化したライブラリが充実しています。また、機械学習やデータ分析の分野でも標準的な言語として使われているため、将来的にログ分析やキャパシティプランニングといった高度な業務にも応用できます。学習リソースも豊富で、日本語の書籍やオンライン講座も多数存在するため、独学でも習得しやすい言語です。
Pythonの主な用途
– [サーバーの設定変更やユーザー管理といった日常的な運用作業を自動化するスクリプト作成](#pythonの主な用途) – [AWSやAzureといったクラウドサービスのAPI操作](#pythonの主な用途) – [監視ツールとの連携](#pythonの主な用途) – [大量のログファイルを解析するデータ処理](#pythonの主な用途)
インフラエンジニアがPythonを活用する代表的な場面として、以下が挙げられます。まず、サーバーの設定変更やユーザー管理といった日常的な運用作業を自動化するスクリプト作成です。複数サーバーへの一括操作や定期実行するタスクをPythonで記述することで、作業時間を大幅に削減できます。次に、AWSやAzureといったクラウドサービスのAPI操作です。Boto3やAzure SDKを使えば、リソースの作成・削除・監視をコードで制御できます。さらに、監視ツールとの連携も重要な用途です。PrometheusやGrafanaから取得したメトリクスをPythonで加工・分析し、異常検知やレポート生成に活用できます。また、大量のログファイルを解析して特定のパターンを抽出したり、統計情報を生成したりするデータ処理もPythonの得意分野です。
Pythonを学ぶメリット
Pythonを学ぶ最大のメリットは、インフラ業務に限定されない汎用性の高さです。Web開発、データサイエンス、機械学習など、幅広い分野で使われているため、キャリアの選択肢が広がります。また、世界中で最も人気のあるプログラミング言語の一つであるため、コミュニティが非常に活発です。困ったときに日本語・英語を問わず豊富な情報が見つかり、Stack Overflowやフォーラムで質問すれば迅速な回答が得られます。さらに、Pythonのコードは読みやすく書きやすいため、他のエンジニアとのコード共有やレビューがスムーズに進みます。求人市場でも「Python経験者」を求める企業は多く、習得することで転職やキャリアアップの際に有利に働きます。
Bash/Shell|Linux環境での必須スキル
Bash(Bourne Again Shell)およびシェルスクリプトは、Linuxサーバーの運用において最も基本的かつ重要なスキルです。コマンドラインでの作業が日常的なインフラエンジニアにとって、Bashスクリプトは「書けて当然」と見なされるレベルの必須技術と言えます。
Bashの最大の特徴は、Linux環境に標準で搭載されており、追加のインストール作業なしにすぐ使える点です。サーバーの初期設定、ログローテーション、定期バックアップといった基本的な運用タスクは、ほとんどがBashスクリプトで実装できます。また、既存のLinuxコマンド(grep、awk、sed、findなど)を組み合わせてパイプライン処理を構築できるため、テキスト処理やファイル操作に非常に強力です。複雑なロジックを書くにはPythonの方が適していますが、軽量で高速な処理が必要な場面や、システムに深く統合された処理では、Bashが最適な選択肢となります。
Bash/Shellの主な用途
– [サーバーの初期セットアップスクリプト](#bashshellの主な用途) – [cronジョブと組み合わせた定期実行タスク](#bashshellの主な用途) – [ログファイルの解析](#bashshellの主な用途) – [CI/CDパイプラインにおけるデプロイスクリプト](#bashshellの主な用途)
Bashスクリプトの活用場面は多岐にわたります。最も基本的な用途は、サーバーの初期セットアップスクリプトです。新しいサーバーを構築する際に必要なパッケージのインストール、ユーザーアカウントの作成、セキュリティ設定の適用といった一連の作業をスクリプト化しておけば、環境構築の時間を大幅に短縮できます。また、cronジョブと組み合わせた定期実行タスクもBashの主戦場です。毎日のログローテーション、週次のバックアップ取得、不要ファイルの削除といった定型作業を自動化できます。さらに、ログファイルの解析も頻繁に行われる用途です。grepやawkを駆使して大量のログから特定のエラーパターンを抽出したり、アクセス統計を集計したりする処理が、数行のスクリプトで実現できます。CI/CDパイプラインにおけるデプロイスクリプトも、Bashで書かれることが多い領域です。
Bash/Shellを学ぶメリット
Bashを学ぶ最大のメリットは、即座に実務で活用できる実用性の高さです。Pythonのように環境構築が不要で、Linuxサーバーにログインしたその瞬間から使えます。また、Bashスクリプトを習得する過程で、Linuxの仕組みや標準コマンドの使い方を深く理解できるため、インフラエンジニアとしての基礎力が底上げされます。トラブルシューティングの際にも、システムログの調査やプロセス管理といった場面で、Bashの知識が直接役立ちます。さらに、多くのオープンソースツールやソフトウェアのインストールスクリプトがBashで書かれているため、既存スクリプトを読み解いて改良する能力も身につきます。学習コストも比較的低く、基本的な文法は1週間程度で習得可能です。
Ruby|インフラ自動化ツールで活用
Rubyは、Chef(構成管理ツール)やServerspec(インフラテスト)といった有名なインフラ自動化ツールの実装言語として知られています。これらのツールを深く使いこなすためには、Rubyの基本的な知識が役立ちます。
Chefは、サーバーの構成をレシピ(Recipe)と呼ばれるRubyコードで記述し、宣言的にインフラを管理するツールです。大規模なサーバー環境の設定を統一的に管理したい場合に強力です。また、Serverspecは、サーバーが期待通りの状態になっているかをテストするフレームワークで、「ポート80が開いているか」「特定のパッケージがインストールされているか」といったチェックをRubyのDSLで記述します。これらのツールを採用している企業では、Rubyスキルが大きなアドバンテージになります。ただし、最近ではAnsibleやTerraformといった他のIaCツールが主流になりつつあるため、Rubyの優先度はPythonやBashに比べるとやや低めです。既存システムでChefを使っている場合や、テスト駆動インフラに興味がある場合に学習を検討すると良いでしょう。
Go|クラウドネイティブ時代の選択肢
Go言語は、Docker、Kubernetes、Terraformといったクラウドネイティブ時代の主要ツールの開発言語として注目されています。パフォーマンスと並行処理に優れ、シングルバイナリで配布できる特性から、インフラツールの実装に適しています。
インフラエンジニアがGoを学ぶメリットは、主に2つあります。1つ目は、Kubernetesのカスタムコントローラーやオペレーターを開発できることです。Kubernetes環境を本格的に運用する場合、独自の自動化ロジックを実装する必要が出てくることがあり、その際にGoの知識が必須となります。2つ目は、高性能な監視ツールやCLIツールを自作できることです。大量のログを高速に処理するツールや、複雑なインフラ操作を簡単にするコマンドラインツールを、Goで効率的に開発できます。ただし、Goは学習曲線がやや急で、初学者には敷居が高い面もあります。PythonとBashを習得した後、さらにスキルアップを目指す段階で学ぶのが現実的でしょう。クラウドネイティブ技術に深く関わりたいエンジニアには、将来的な投資として価値のある言語です。
プログラミングスキルの具体的な活用場面
プログラミングスキルがインフラ業務でどのように活用されるのか、具体的なシーンを通じて理解することで、学習のモチベーションが高まります。ここでは、実務で頻繁に発生する4つの代表的な活用場面を紹介します。
– [サーバーの自動構築・設定](#サーバーの自動構築設定) – [監視・ログ分析の自動化](#監視ログ分析の自動化) – [バックアップ・復旧処理の効率化](#バックアップ復旧処理の効率化) – [クラウドリソースの管理・最適化](#クラウドリソースの管理最適化)
サーバーの自動構築・設定
新しいサーバーを構築する際、手動で設定を行うと時間がかかり、設定ミスのリスクも高まります。プログラミングスキルを使えば、サーバーのプロビジョニング(準備)から設定まで、すべて自動化できます。
具体的には、TerraformやAnsibleといったIaCツールを使って、サーバーの構築手順をコードで記述します。例えば、「Ubuntu 22.04のEC2インスタンスをt3.mediumで起動し、Nginxとpostgresqlをインストールして、特定のセキュリティグループを適用する」といった一連の手順を、コードとして保存しておけます。このコードを実行するだけで、毎回同じ構成のサーバーが数分で立ち上がります。開発環境、ステージング環境、本番環境で全く同じ設定を再現できるため、「開発環境では動くのに本番環境では動かない」といった問題を防げます。また、Pythonスクリプトと組み合わせれば、サーバー台数を需要に応じて動的にスケールさせる仕組みも構築できます。手動作業では不可能だった大規模環境の管理が、プログラミングによって実現可能になるのです。
監視・ログ分析の自動化
システムの安定運用には、継続的な監視とログ分析が欠かせません。しかし、手動でログファイルを確認していたのでは、問題を見逃すリスクがあります。プログラミングを活用することで、監視とログ分析を自動化し、異常を即座に検知する体制を構築できます。
例えば、Pythonスクリプトを使って、アプリケーションログから特定のエラーパターンを検出し、Slackやメールで自動通知する仕組みを作れます。正規表現を使ってエラーメッセージを抽出し、発生頻度を集計して、閾値を超えたらアラートを発報するといった処理です。また、Prometheusなどの監視ツールから取得したメトリクスデータをPythonで加工し、カスタムダッシュボードを作成することもできます。CPU使用率、メモリ使用量、ディスク容量といった指標を定期的にチェックし、異常値を検出したら自動的にチケットを起票するといった高度な自動化も実現可能です。これにより、インフラエンジニアは単純な監視作業から解放され、より戦略的な業務に集中できるようになります。
バックアップ・復旧処理の効率化
データの損失を防ぐためのバックアップは、インフラ運用における最重要タスクの一つです。しかし、手動でのバックアップ作業は忘れやすく、手順ミスのリスクもあります。プログラミングによる自動化で、確実かつ効率的なバックアップ体制を構築できます。
Bashスクリプトを使えば、データベースのダンプ取得、ファイルの圧縮、リモートストレージへの転送といった一連のバックアップ処理を自動化できます。cronで定期実行すれば、毎日深夜にバックアップが取得され、一定期間経過した古いバックアップは自動削除されるといった運用が可能です。また、Pythonを使えば、バックアップの成功・失敗を監視し、失敗時には即座に通知する仕組みも作れます。さらに、災害復旧(DR)の観点では、バックアップからの復旧手順もスクリプト化しておくことが重要です。復旧作業をコード化しておけば、緊急時でも手順書を確認しながら手動で作業する必要がなく、迅速な復旧が可能になります。定期的に復旧テストを自動実行して、バックアップが実際に使えることを検証する仕組みも構築できます。
クラウドリソースの管理・最適化
クラウド環境では、使った分だけ課金される従量課金制が一般的です。そのため、リソースの無駄を削減し、コストを最適化することが重要な業務となります。プログラミングスキルを使えば、クラウドリソースの管理と最適化を自動化できます。
例えば、Pythonスクリプトを使って、未使用のEC2インスタンスやアタッチされていないEBSボリュームを定期的にスキャンし、削除候補としてリストアップできます。また、営業時間外に自動的にインスタンスを停止して、営業時間開始時に再起動するスケジューラーを実装すれば、開発環境のコストを大幅に削減できます。さらに、AWS Cost ExplorerのAPIを使って、日々のコスト推移を取得・分析し、予算超過の兆候があればアラートを出す仕組みも構築可能です。Terraformと組み合わせれば、リソースのタグ付けルールを強制し、どのプロジェクトでどれだけコストが発生しているかを可視化することもできます。クラウドコストの最適化は経営層からも注目される領域であり、プログラミングスキルを活用して成果を出せば、高い評価につながります。
「【関連記事】:インフラエンジニアの仕事内容を徹底解説|4つの工程と役割を完全ガイド」
インフラエンジニアがプログラミングを学ぶ方法
プログラミングの必要性は理解できても、「どこから手をつければいいのか」と悩む方も多いでしょう。インフラエンジニアに適した学習アプローチは、開発者とは異なります。ここでは、実務で活かせる効率的な学習方法を紹介します。
– [実務で必要な部分から学ぶ](#実務で必要な部分から学ぶ) – [おすすめの学習リソース](#おすすめの学習リソース) – [実際のインフラ環境で練習する](#実際のインフラ環境で練習する)
実務で必要な部分から学ぶ
インフラエンジニアがプログラミングを学ぶ際の最大のコツは、理論から入るのではなく、実務で直面している問題を解決する過程で学ぶことです。この問題解決型の学習アプローチは、モチベーションを維持しやすく、学んだ知識がすぐに実践で役立ちます。
例えば、毎日手動で行っているログチェック作業があるなら、まずはそれをBashスクリプトで自動化することから始めましょう。完璧なコードを書く必要はありません。grepコマンドでエラーを抽出し、結果をメールで送信する簡単なスクリプトでも、十分に価値があります。次に、複数サーバーの設定を一括変更したいという課題があれば、Pythonのsubprocessモジュールを使ってSSH経由で一括実行するスクリプトに挑戦します。このように、「今日の業務を楽にする」という明確な目的があると、学習が具体的になり、習得も早くなります。また、自分で書いたスクリプトが実際に動いて業務が効率化される体験は、大きな達成感につながり、さらなる学習意欲を生み出します。
おすすめの学習リソース
インフラエンジニア向けのプログラミング学習リソースは、開発者向けのそれとは異なります。インフラ業務に特化した教材を選ぶことで、効率的にスキルを習得できます。
まず、Pythonの基礎を学ぶなら、「Python実践入門」や「退屈なことはPythonにやらせよう」といった書籍が、実用的なスクリプト作成に焦点を当てており、インフラエンジニアに適しています。オンライン学習プラットフォームでは、UdemyやPluralSightに「Pythonによるインフラ自動化」といったコースがあります。Bashについては、「入門bash 第4版」が体系的に学べる良書です。また、公式ドキュメントも重要なリソースです。Ansibleであれば公式ドキュメントのGetting Startedセクション、AWSであればAWS公式のチュートリアルが、非常に充実しています。さらに、GitHubで「awesome-sysadmin」や「awesome-python」といったリポジトリを検索すると、インフラ系のツールやスクリプトのサンプルが大量に見つかります。実際に使われているコードを読むことも、優れた学習方法です。技術ブログでは、Qiitaやはてなブログでインフラエンジニアが自動化事例を公開しているので、検索して参考にしましょう。
「【関連記事】:インフラエンジニアの勉強方法完全ガイド|挫折しない独学ロードマップと学習順序」
実際のインフラ環境で練習する
プログラミングは、実際に手を動かして試行錯誤することで身につきます。そのためには、安全に実験できる練習環境が必要です。本番環境でいきなり試すのは危険なので、専用の検証環境を用意しましょう。
最も手軽な方法は、VirtualBoxやVMware Workstationを使って、自分のPCに仮想マシンを構築することです。Ubuntu ServerやCentOSをインストールして、自由にスクリプトを試せる環境を作れます。また、AWSやGCPの無料枠を活用するのも有効です。AWS Free Tierでは、t2.microインスタンスを12ヶ月間無料で使えるため、クラウド環境での実践的な練習が可能です。さらに、VagrantとDockerを組み合わせれば、複数サーバー環境を簡単に構築・破棄できます。GitHubには「infrastructure-as-code-tutorial」や「ansible-examples」といった学習用のリポジトリが公開されているので、これらをクローンして実際に動かしてみることで、実践的なスキルが身につきます。重要なのは、失敗を恐れずに色々試すことです。仮想環境なら何度壊してもコストはかからないので、積極的に実験しましょう。作成したスクリプトは、GitHubにプライベートリポジトリとして保存しておくと、ポートフォリオとしても活用できます。
プログラミングスキルを持つインフラエンジニアのキャリア優位性
プログラミングスキルを習得することで、インフラエンジニアとしてのキャリアにどのようなメリットがあるのでしょうか。市場価値の向上という観点から、具体的な優位性を見ていきましょう。
– [DevOpsエンジニアへのキャリアパス](#devopsエンジニアへのキャリアパス) – [より高度な自動化・効率化の実現](#より高度な自動化効率化の実現) – [市場価値の向上と年収アップ](#市場価値の向上と年収アップ)
DevOpsエンジニアへのキャリアパス
プログラミングスキルを持つインフラエンジニアにとって、最も魅力的なキャリアパスの一つが、DevOpsエンジニアへの転身です。DevOpsエンジニアは、開発チームと運用チームの橋渡し役として、CI/CDパイプラインの構築やインフラの自動化を担当します。
この職種では、インフラの知識とプログラミングスキルの両方が必須となります。GitHubやGitLabといったバージョン管理システムと連携して、コードのコミットをトリガーに自動テスト、自動ビルド、自動デプロイを実行する仕組みを作ります。これにはJenkinsやCircleCI、GitHub Actionsといったツールの知識に加え、BashスクリプトやPythonでカスタムスクリプトを書く能力が求められます。DevOpsエンジニアの需要は非常に高く、多くの企業が人材を求めています。また、年収も従来のインフラエンジニアと比較して高めに設定されることが多く、600万円から1000万円以上の求人も珍しくありません。開発者とインフラエンジニアの両方のスキルセットを持つDevOpsエンジニアは、まさにプログラミングスキルを習得したインフラエンジニアにとって自然なキャリアステップと言えます。
「【関連記事】:インフラエンジニアのキャリアパス完全ガイド|運用から設計・クラウド・SREへの道筋」
より高度な自動化・効率化の実現
プログラミングスキルを持つことで、単純な作業の自動化だけでなく、より高度で複雑な課題にも対応できるようになります。これにより、チーム内でのポジションや評価が大きく変わります。
例えば、機械学習を活用した異常検知システムの構築や、複数クラウドサービスをまたいだマルチクラウド管理基盤の開発といった、技術的に挑戦的なプロジェクトをリードできるようになります。Pythonでデータ分析のスキルがあれば、過去のインシデントデータを分析して、障害の予兆を検出する予知保全システムを作ることも可能です。また、独自の運用ツールやCLIツールを開発して、チームの生産性を向上させることで、技術リーダーとしての立場を確立できます。こうした高度な自動化・効率化の実現は、企業に直接的な価値を提供するため、昇進や昇給の際に強力なアピールポイントとなります。プログラミングスキルがあることで、「言われた作業をこなすオペレーター」から「課題を発見し解決するエンジニア」へと役割が変化するのです。
市場価値の向上と年収アップ
プログラミングスキルを持つインフラエンジニアは、転職市場において明確なアドバンテージを持ちます。求人サイトを見ると、「Python経験者優遇」「IaCツール使用経験必須」といった条件を掲げる企業が増えており、これらのスキルがあるかどうかで年収に大きな差が生まれます。
一般的なインフラエンジニアの平均年収が500万円〜600万円程度であるのに対し、PythonとIaCツールを使いこなせるインフラエンジニアは700万円〜900万円のオファーを受けるケースも珍しくありません。特に、AWSやGCPといったクラウド認定資格とプログラミングスキルを組み合わせると、市場価値がさらに高まります。また、フリーランスとして独立する場合も、プログラミングスキルがあれば高単価の案件を獲得しやすくなります。インフラ構築の自動化支援や、DevOps推進プロジェクトといった案件では、月単価80万円〜120万円といった高額なオファーも存在します。投資した学習時間に対して、十分なリターンが期待できるスキルと言えるでしょう。
「【関連記事】:未経験からインフラエンジニアへの転職完全ロードマップ|成功率を高める5ステップ」
まとめ:インフラエンジニアこそプログラミングスキルを身につけよう
インフラエンジニアにとって、プログラミングスキルはもはや「あれば便利」なものではなく、現代のインフラ運用において必須の能力です。クラウド時代の到来とIaCの普及により、手動での作業からコードによる自動化へと業務の中心が移っています。
本記事で解説したように、PythonとBashを中心に、RubyやGoといった言語を習得することで、サーバーの自動構築、監視の効率化、クラウドリソースの最適化といった実務上の課題を解決できます。学習方法としては、実務で直面する問題から始め、インフラに特化した学習リソースを活用し、仮想環境で実践的に練習することが効果的です。
プログラミングスキルを身につけることで、DevOpsエンジニアへのキャリアパスが開け、より高度な自動化を実現でき、市場価値と年収の向上にもつながります。最初は簡単なBashスクリプトから始めて、徐々に複雑な処理に挑戦していけば、誰でも実務レベルのスキルを習得できます。
今日の単純作業を自動化する小さなスクリプトから、まずは第一歩を踏み出してみましょう。その一歩が、あなたのインフラエンジニアとしてのキャリアを大きく前進させるきっかけになるはずです。
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