カスタマーサポートのリモートワークは可能？在宅勤務の求人実態と働き方

公開日: 2025年11月29日更新日: 2025年11月30日

著者: MeTimeキャリア編集部

「カスタマーサポートって在宅でできるの?」という疑問を持つ方は多いでしょう。結論から言えば、カスタマーサポートのリモートワークは十分可能です。近年、クラウド型CRMシステムの普及により、メール対応やチャットサポート、電話応対まで自宅で完結できる環境が整いました。本記事では、リモートワークが可能なカスタマーサポート業務の種類、必要な環境、実際の求人状況まで詳しく解説します。在宅勤務を希望するCS担当者や、ワークライフバランスを重視したい方は、ぜひ参考にしてください。

カスタマーサポートのリモートワークは増加傾向にある

カスタマーサポート業界では、リモートワークの導入が急速に進んでいます。かつては「顧客対応は出社して行うもの」という固定観念がありましたが、IT技術の発展と働き方改革の流れにより、在宅でも高品質なサポートを提供できる環境が整ってきました。ここでは、リモートワーク増加の背景にある2つの大きな要因を見ていきましょう。

コロナ禍をきっかけに在宅CS求人が急増
クラウド型システムの普及で環境が整った

コロナ禍をきっかけに在宅CS求人が急増

2020年のコロナ禍により、多くの企業が急速にリモートワーク体制へ移行しました。カスタマーサポート部門も例外ではなく、感染対策として在宅勤務が推奨された結果、これまで「不可能」とされていた電話対応やチャットサポートの在宅化が一気に進みました。実際、求人サイトでは「カスタマーサポートリモート」のキーワード検索数が2020年以降に約3倍に増加しています。多くの企業がリモート体制での運用実績を積んだことで、パンデミック収束後も在宅勤務を継続する動きが定着しつつあります。

クラウド型システムの普及で環境が整った

リモートワークを支える重要な要素が、ZendeskやSalesforce Service Cloud、Freshdesk、kintoneなどのクラウド型カスタマーサポートツールの普及です。これらのシステムは、インターネット環境さえあれば場所を問わずに顧客情報へアクセスでき、チケット管理や対応履歴の共有がリアルタイムで可能になります。さらに、SlackやMicrosoft Teamsなどのコミュニケーションツールと連携することで、チーム間の情報共有もスムーズに行えます。こうした技術基盤の整備により、在宅でもオフィスと変わらないサポート品質を維持できるようになったのです。

完全リモート可能なカスタマーサポート業務とは

すべてのカスタマーサポート業務がリモートに適しているわけではありません。しかし、テキストベースの問い合わせ対応や、クラウドツールを活用した業務は在宅でも十分に対応可能です。ここでは、特にリモートワークに適した3つの業務タイプを具体的に見ていきます。

メール・チャット対応中心の業務
電話対応のリモート化も進む
テクニカルサポート・ヘルプデスク

メール・チャット対応中心の業務

最もリモートワークに適しているのが、メールやチャットを使った非同期のカスタマーサポートです。ECサイトやSaaS企業の多くは、顧客からの問い合わせをメールやチャットで受け付けており、対応スタッフは自宅からクラウドシステムにアクセスして返信できます。時間帯によってはチャットボットが一次対応を行い、複雑な質問のみ人間のオペレーターにエスカレーションする仕組みも一般的です。テキストベースのやり取りは記録が残りやすく、対応品質の管理もしやすいため、リモート環境との相性が非常に良いのが特徴です。

電話対応のリモート化も進む

従来は出社が必須と考えられていた電話対応も、クラウドPBX(Private Branch Exchange)システムの導入により在宅化が進んでいます。MiiTelやAmazon Connect、Twilio Flexなどのクラウド電話システムを使えば、自宅のPCとヘッドセットだけで顧客からの着信に対応できます。通話内容は自動で録音・文字起こしされ、品質管理もリモートで可能です。ただし、静かな環境の確保や通信の安定性が求められるため、メール対応よりもハードルは高くなります。

テクニカルサポート・ヘルプデスク

IT製品やソフトウェアのテクニカルサポート、社内ヘルプデスクなどの技術サポート業務も、リモートワークと相性が良い分野です。リモートデスクトップツールやZoomなどのビデオ会議ツールを使えば、顧客の画面を共有しながら問題解決をサポートできます。特にSaaS製品のサポートでは、製品自体がクラウドベースのため、場所を問わず技術支援を提供できます。専門知識が必要な分、時給や年収も高めに設定されていることが多いのも魅力です。

リモートワークに必要な環境と準備

在宅でカスタマーサポート業務を行うには、快適かつ安全に働ける環境の整備が不可欠です。企業によっては必要な機材を貸与してくれる場合もありますが、自分で準備が必要なケースもあります。ここでは、リモートワークをスムーズに始めるための3つの重要な準備項目を解説します。

通信環境とPC・周辺機器
静かな作業スペースの確保
セキュリティ対策の理解

通信環境とPC・周辺機器

安定したインターネット接続は、リモートワークの生命線です。光回線などの有線接続で、下り速度30Mbps以上が推奨されます。電話対応を行う場合は、ノイズキャンセリング機能付きのヘッドセット(例:Jabra Evolve2シリーズ、ロジクールH390など)が必須です。PCはWindows 10以上またはmacOS、メモリ8GB以上のスペックがあれば問題ありません。また、Webカメラやデュアルモニター、エルゴノミクスチェアなどがあると作業効率が向上します。多くの企業では、これらの環境要件を応募時に明示しているため、事前に確認しておきましょう。

静かな作業スペースの確保

特に電話対応やビデオ会議を行う場合、静かで集中できる作業スペースの確保が重要です。家族の生活音やペットの鳴き声、屋外の騒音などが顧客に聞こえると、プロフェッショナルな印象を損ねてしまいます。専用の個室が理想ですが、難しい場合はパーティションで仕切ったり、防音カーテンを使ったりする工夫も有効です。チャットやメール対応中心であれば、多少の生活音は問題になりませんが、集中力を保つためにも作業専用のスペースを設けることをおすすめします。

セキュリティ対策の理解

カスタマーサポート業務では、顧客の個人情報やクレジットカード情報など、機密性の高いデータを扱います。そのため、企業は厳格なセキュリティポリシーを設けています。具体的には、VPN接続の使用、私物デバイスの使用禁止、画面の覗き見防止、作業中の家族の立ち入り制限などが求められることがあります。また、業務用PCには企業支給のセキュリティソフトがインストールされ、定期的なパスワード変更も必須です。入社前のセキュリティ研修をしっかり受け、ルールを遵守する意識が重要です。

リモートワーク求人のあるカスタマーサポート企業例

実際にどのような企業がリモートワークのカスタマーサポート求人を出しているのでしょうか。ここでは、完全リモート可能な企業と、オフィスと在宅を組み合わせたハイブリッド勤務を採用している企業の具体例を紹介します。求人内容は時期によって変動するため、最新情報は各企業の採用ページや転職サイトで確認してください。

完全リモート可能な企業
ハイブリッド勤務の企業

完全リモート可能な企業

フルリモートでカスタマーサポートを募集している企業には、freeeやSmartHR、サイボウズといったSaaS企業が多く見られます。これらの企業は自社製品がクラウドベースのため、サポート体制もリモート前提で構築されています。また、BASE株式会社やラクスル株式会社などのECプラットフォーム運営企業も、チャットやメールでの顧客サポートを完全在宅で実施しています。給与は月給20〜35万円程度が相場で、経験者はさらに高待遇となるケースもあります。地方在住でも応募可能な求人が多いため、都市部以外でキャリアを築きたい方にもおすすめです。

ハイブリッド勤務の企業

週2〜3日の出社と在宅勤務を組み合わせたハイブリッド型を採用している企業も増えています。楽天グループやメルカリ、LINEヤフーなどの大手IT企業では、チーム会議や研修は出社、日常のサポート業務は在宅という柔軟な働き方が可能です。また、保険会社や通信キャリアのカスタマーサポート部門でも、段階的にハイブリッド勤務を導入する動きが見られます。完全リモートに不安がある方や、対面でのコミュニケーションも大切にしたい方には、このハイブリッド型が向いているでしょう。企業文化や働き方の相性を見極めるためにも、面接時に勤務形態の詳細を確認することが重要です。

リモートワークのメリットとデメリット

カスタマーサポートのリモートワークには、働く側にも企業側にも多くのメリットがありますが、同時に注意すべき課題も存在します。ここでは、在宅勤務を検討する際に知っておくべき利点と欠点、そして対処法をバランスよく解説します。

リモートワークのメリット
リモートワークのデメリットと対策

リモートワークのメリット

最大のメリットは、通勤時間がゼロになることです。往復2時間の通勤がなくなれば、その分を睡眠や趣味、家族との時間に充てられます。また、自宅で働けるため、育児や介護との両立がしやすくなります。小さな子どもがいる方や、親の介護が必要な方でも、柔軟にキャリアを継続できるのは大きな魅力です。さらに、服装や身だしなみの準備も最小限で済み、ランチ代や交通費も節約できます。対面のストレスが少なく、自分のペースで集中して業務に取り組めるため、メンタル面での負担軽減にもつながります。地方在住でも都市部の企業で働けるチャンスが広がるのも、地理的制約を超えた働き方として注目されています。なお、リモートワークでのキャリア発展については「【関連記事】：カスタマーサポートのキャリアパスを解説」で詳しく解説していますので、こちらも参考にしてください。

リモートワークのデメリットと対策

一方で、孤独感やコミュニケーション不足に悩む人も少なくありません。オフィスでの何気ない雑談や、すぐに質問できる環境がないため、疑問点の解消に時間がかかることもあります。対策としては、定期的なオンラインミーティングやSlackなどのチャットツールを活用し、積極的にコミュニケーションを取ることが重要です。また、仕事とプライベートの境界が曖昧になり、長時間労働に陥りやすい問題もあります。始業・終業時刻を明確に決め、休憩時間も意識的に取るようルーティンを作りましょう。さらに、自宅に作業専用スペースがない場合、集中力の維持が難しくなります。コワーキングスペースの利用や、時間帯を決めて図書館で作業するなど、環境を工夫することで対処できます。このような課題への対処法については「【関連記事】：カスタマーサポートの大変なことと13のストレス対処法」でより詳しく紹介していますので、参考にしてください。

リモートワーク可能な求人の見つけ方

リモートワークのカスタマーサポート求人を効率的に探すには、適切な求人媒体の活用が鍵となります。ここでは、在宅勤務可能な案件を見つけやすい転職サイトと、企業の採用ページを直接チェックする方法の2つのアプローチを紹介します。

リモート案件に強い転職サイト
企業の採用ページを直接チェック

リモート案件に強い転職サイト

リモートワーク求人に特化した転職サイトとしては、「リモートワーク求人検索 reworker(リワーカー)」や「Wantedly」が有名です。また、「doda」「リクナビNEXT」「Green」などの大手求人サイトでも、検索条件で「リモート可」「在宅勤務」にチェックを入れることで、該当する求人を絞り込めます。特にIT・Web業界に特化した「Green」は、カスタマーサポート職のリモート求人が豊富に掲載されています。さらに、派遣会社経由でリモートワークのカスタマーサポート案件を探すのも有効です。テンプスタッフやパソナなどの大手派遣会社では、時給1,500〜2,000円程度のリモートCS案件を扱っています。

企業の採用ページを直接チェック

興味のある企業が決まっている場合は、その企業の公式採用ページを定期的に確認するのが最も確実です。特にSaaS企業やスタートアップは、自社採用ページやWantedly、Noteなどで積極的に情報発信しています。企業のTwitterアカウントをフォローしておくと、求人情報がタイムリーに得られることもあります。また、LinkedInで企業をフォローし、求人通知を設定しておくのも効果的です。直接応募の場合、転職エージェントを経由するよりも選考がスピーディーに進むことが多く、企業側も採用コストを抑えられるため双方にメリットがあります。気になる企業があれば、まずは公式サイトの「採用情報」ページをブックマークしておきましょう。

まとめ: カスタマーサポートのリモートワークは実現可能

カスタマーサポートのリモートワークは、クラウド技術の発展とコロナ禍をきっかけに急速に普及し、今や多くの企業で採用されている働き方です。メールやチャット対応はもちろん、電話サポートやテクニカルサポートまで、幅広い業務が在宅で可能になっています。

リモートワークを始めるには、安定した通信環境、適切なPC・周辺機器、静かな作業スペース、そしてセキュリティ対策の理解が必要です。しかし、これらの環境を整えることで、通勤時間ゼロ、育児・介護との両立、地方在住でも都市部の企業で働けるといった大きなメリットを享受できます。

求人探しには、リモート案件に強い転職サイトの活用や、興味のある企業の採用ページを直接チェックする方法が効果的です。完全リモートかハイブリッド勤務か、自分のライフスタイルに合った働き方を選びましょう。在宅勤務での孤独感や仕事とプライベートの境界など、課題もありますが、適切な対策を講じることで快適なリモートワーク環境を構築できます。カスタマーサポートでのキャリアを在宅で実現したい方は、ぜひこの機会にリモートワークの求人にチャレンジしてみてください。